「頑張ってください!」に見る品女DNA
昨日の「ランニング頑張ってください!」に見る「品女DNA」のお話し。
先日、知人から「ある会社の人事責任者が卒業生の事であなたに会って話したいそうだ」と紹介されました。
この会社は、学生の8人に一人が志望するという人気企業です。
今年は、5万人の学生がプレエントリー、うち2万5千人が実際にエントリ-し、そこから書類で10%に絞られ、数回の試験を経て、70名が採用されたそうです。(女性はその約半数)
この方は、もともと、人事の参考になるからと私の本を読んでくださっていて、その他にも本校の話をしばしば耳になさっていたそうなのですが・・・、
今年、採用試験を進めて行くうちに、とても印象に残る学生が二人いて、履歴を見返してみると、なんと、二人とも高校が同じ!
「品川女子学院」だったそうです。 それで、本校の取り組みを聞いてみたいと思われたそうです。
私が、おそるおそる、「どんな風に目立っていたんですか?」と伺うと、
応募者が多いため、試験は数回実施されるのですが、その後で社員に質問できるコーナーがあります。御校の卒業生は『自分の試験日以外の日にも来ていいですか?』と許可を取り、すべての試験に来て社員に質問をしていました。そして、『わがままを聞いていただいありがとうございました』と挨拶もしっかりしているんです。
最終面接に進むまで何回も試験があるのですが、すべての試験で一番に来ていました。特に、最終試験の一番はとても緊張するので普通の学生はいやがるのですが、それも一番でした。
最終に残る学生さんはどの人も能力が高いので、決め手になるのは『本当にこの会社に入りたい』という強い意志です。
一人の卒業生は、その場で感極まって涙を流していましたが、ただ緊張して泣いているのではなく熱意が伝わってきました。そして、内定が決まったことを電話したら、普通は感激して『ありがとうございました』というのがやっとなのですが、卒業生は、
『人事採用のお仕事、とても大変だと思いますが、頑張ってください!』
と言うんです。長く人事をやっていますが、学生に励まされたのは初めてです。
お話しを伺っているうちに、その子達の中等部からのいろいろな出来事が思い出され、思わず涙ぐんでしまいました。
二人とも部活で頑張っていたこと
カフェテリアで携帯を取り上げたこと
中等部時代よく叱られていたこと
留学に出すのが心配だったけれど見違えるほど成長して戻ってきたこと
大学の応援部で同じ学年の女子部員が一人になってしまったときも最後までやめなかったこと
学校でやった成人式のパーティーに留学先から駆けつけてきたこと・・・
この話を後輩達にしたら、名前を言わなかったのに伝わって、一人が訪ねてきました。
「先生、人事の○○さんに会われたんですか?私の尊敬する人です。先生が朝礼で私の話をしたって聞いて涙が出そうになりました」
「試験は毎回一番に行って、最終面接も一番だったんだって?」
「え?最初にやりますって言っただけですよ」
「いや、ふつう、一番は緊張するものなのよ」
「そもそも、どうしてこの会社を選んだの?」
「留学先で支社の方と知り合って、興味があったのでインターンをさせていただいて。品女流で無理矢理頼み込みました。それで、とてもいい会社だったので、ここしかない!って。私、この会社しか受からなかったんですよ」
「大学受験のときを思い出すわねぇ」
「ええ、あのときも受かって自分がびっくりしました。私、運がいいんです」
「何がきっかけで勉強するようになったの?」
「3ヶ月留学ですね。あの後、目標ができて英語をやるようになって。でも、ぎりぎりまで受かるとは思いませんでした」
と、思い出話をひとしきり。
「あこがれの会社でも入ったら思いがけないこともあるかもしれないからね。でも、後輩が続くように頑張ってよ」と言ったら、
「ドロドロした人間関係とか? 私、大丈夫です。部活でもいろいろありましたから(笑)」 ですって。
最後に、「先生、私、品女でよかった」 と言って帰っていきました。
この前の年も、同じ会社に卒業生が入社しています。
在校生が学校を発展させ、卒業生が助けられる。卒業生が在校生の進む社会を開拓し、迎えてくれる。そういういい循環を品女DNAで起こしていってくれたら私立学校冥利に尽きますね。