気になる声シリーズ ⑥教科イチオシ見学会【森美術館】
気になる入る声シリーズ。
*センター1日目の職員室。
「降水確率60%だって」という声。
私「えっ?明日?雪になったら大変じゃない!」
「あ、京都の話です」
「ああ、そうなの。びっくりした」
(と言いつつ、険しい視線を送る。)
*廊下に出たら、生徒が立ち話中。
「目指すものが違うんじゃない?」
「リサンとかじゃないでしょ?リイチ?」
(私は、生徒の話に後ろから入ってびっくりさせるのが好きなのですが、なにやら深刻そうなのでここはパス。)
*階段で「スカート短い!」と注意してすれ違った後、その子の友達の声。
「ほらね。ノーマークの日なんてないんだから」
(さっき、同じ子が横を通ったときは立ち話中で、注意するタイミングを逃したのでスルーできたと思ったのでしょう)
*校長室にいたら、廊下を通る生徒の声。(この時間は、ほとんど1年生のはず)
「ごめ~ん、ちょっとヤボヨウで~」
(中1の「野暮用」ってなんなの~?)
さて、イチ押しの続きです。担当者からの報告です。
森美術館にお世話になったのは、今年度で4年目です。
*過去3年間の様子:
2007年度 教科イチオシ見学会①森美術館
2008年度 今日のお客様&教科イチ押し22森美術館
2009年度 春期講習・教科イチ押し 森美術館
今回は2010年11月27日~2011年2月27日に開催されている「小谷元彦展:幽体の知覚」を見学しました。
自由見学ではなく、5人ほどのグループに分かれ、専任のスタッフの方に案内していただきながらの贅沢な体験です。
国語の学習ですので、見学後に考えたことを言葉にして提出してもらいました。参加者は1・2・4・5年生の計25名。
彼女たちの言葉をいくつかご紹介いたします。Q 印象に残った作品名と、その作品を鑑賞して考えたこと
・(≪ダブル・エッジド・オヴ・ソウト(ドレス02)≫を見て)自分についている髪はこわくないのに、ぬけた髪の毛で作ったワンピースは気持ちわるくて不思議だと思った。(2年生)
・(≪NO.44≫を見て)すごく怖いのに、どこか切ない気持ちになった。自分の体にある時はとても大事なものなのに、体から出てしまうと、気持ち悪くて死を連想させるものになって、怖くなる。(4年生)
Q 作品・アーティスト・この展覧会に関する他の生徒の発言で印象に残ったことと、その理由
・(「≪ファントム・リム≫は、実際は手に果物を持っているのに、遠くから見ると手首から先がないように見える」という発言に対して)私は手に果物を持っているようにしか見えなかったのに、言われてみればそういう風に見えるようになりました。見えた途端に何とも言えない恐怖感が湧いてきたり、興奮したりし、鳥肌が立ちました。(4年生)
Q 小谷元彦氏は幽体(ファントム)、つまり目に見えないものを形にしているそうです。小谷氏が「形」にした目に見えないものとはどんなものだと思いますか。「言葉」で表現してみてください。具体的に作品名を挙げても、展覧会全体を通して感じたことでも構いません。
・人々の感情の境界。≪ファントム・リム≫は特に、小さい頃はジャムやはりつける方ののり、砂場での遊びなどが大好きで手の平をぐちゃぐちゃにして楽しんだりするけど、小学校高学年になるとくだらない、と思うような、感情の変化やその境界を形にしたのではないかと思います。(1年生)
Q 初めに展示されている作品のタイトルで、展覧会の英語タイトルにもなっている「ファントム・リム」とは日本語で幻肢、つまり事故や病気などで失われた手や足が存在しているように感じられることだそうです。
それと同様に、訪れた人が普段忘れてしまっている感覚に目を向けることをこの展覧会で期待しているそうですが、あなたはそのような体験をしましたか。した場合どのような体験か、具体的に書いてください。・普段は置きざりにしているような子供の頃の無邪気さや残酷さ、また子供の頃に感じていたイメージを、小谷さんの作品全てにある力強さを見ることで思いだし、昔のようにそこにあるもの全てが新鮮に感じました。(5年生)
Q 美術館という場所について、今回の見学会で得た印象
・美術館を作った人の思い1つ1つが実感できる場所。(1年生)
・森美術館は2回目ですが、自分の内面が研ぎすませる場所です。(4年生)
・これまではスタッフの方々の解説を聞くことなく作品を見ていたので、作家の人と美術館のつながりを感じることはなかったのですが、今回スタッフの方の解説や解釈を聞いて、作家さんの思いがしっかり美術館に受けわたされて展示が成り立っていると感じました。(5年生)
Q 作品を見て、言葉で表現するということについて(できた、難しかった、おもしろかった・・・など。その理由も)
・「ファントム」ということは、私にとって理解することが難しかったので、言葉で表現するのは難しいですが、気持ちではどういうことかわかりました。(1年生)
・とても難しかったです。作品を見て、「ビビッとキタ!!」のはわかるのに、それがなぜかは分からない時が多いんです!!(4年生)
・難しかったです。日本語には表現する言葉がいっぱいありますが、ぴたりと当てはまるような言葉がなかなか見つけ出せませんでした。(4年生)
・作品から受けた感動を言葉に整理することで、より作家さんの考えについて理解しようとすることができ、おもしろかった。こういうことは言われないとやらないことなので新鮮でした。(5年生)
Q 今回の展覧会「小谷元彦展:幽体の知覚」の感想
・実在しないものを形で表現している作品を理解するのは難しかったけど、普段考えもしないようなことを考えることができて勉強になりました。(1年生)
・不思議で気味の悪い作品が多かったのですが、気づかないうちにひかれる自分におどろいた。(2年生)
・初めて見た現代アートですが、本当に衝撃を受けたので、とてもよかったと思います。他の人の作品もこの機会に見に行こうかと思います。(4年生)
スタッフの方々のお蔭で、とても良い体験ができたようでした。
これをお読みの皆様も、2月末まで開催されていますので、ぜひ森美術館にいらしてみてください。