2007/7/2 月曜日

プロフェッショナル探訪シリーズ③

カテゴリー: 28プロジェクト:社会 — 漆 @ 12:00:00

第三回は師田卓さんです。 帝人(株)入社後、仏ボルドー大学、パリ大学、米ハーバード大学留学、仕事で70カ国を訪れ、5カ国語に堪能、専務取締役(CFO)をなさるまでありとあらゆる部署を経験されたという方です。
生徒の将来に役立ちそう!と思ったことをメモしました。

◆考え方の原点は戦争体験。空襲で家が焼け、多くの友人が亡くなり、折角生き残ったのだから精一杯生きなくてはと思った。人生は一回だけ、その時点でのベストをつくす。
◆人生の決断に迷ったらやりたいことをすべて紙に書きそして消し込んでいく。
◆海外留学で気をつけることは「確固とした目的を持っていく」こと。「なんとなく語学を・・・」で挫折する人は多い。
◆語学は話せるだけでは信用されない。文化的教養が必要。日本文化はもちろん、ギリシャ、ローマ神話など相手の背景になるものも学んでおくことが必要。
◆ハーバードで「自分の語学力ではディスカッションについていけない!」と感じたとき取った作戦は「初めに手を挙げて自分の意見をいい、議論の方向性を作ってしまう」工夫が大切。
◆就職面接にマニュアルは役立たない。経験と人間的な深みが必要。人事部長だったとき、面接で聞いたのは「あなたが生きてきて最もエキサイティングだったことは?」
◆海外事業本部長としての経験で、他国の事業を撤収する際は徹底して相手の立場に立つことが大切と知った。(留学も、人間の本質に変わりはないが言葉を含めた文化、受けてきた教育、すべて違うことを知っておく)
◆キャリアを通じて感じたことは「自ら一歩踏み出すことで新しい展開が見えてくる」
◆好奇心、継続した努力、情熱、工夫が大切。仕事には優先順位をつけることが必要。
◆一人ではたいしたことはできないが、まず一人が動かねば何もできない。
◆過去と他人は変えられないが未来と自分は変えられる。努力は運を左右する。

師田さんも田嶋さんと同じく生徒のお祖父様くらいの年齢です。戦争体験による死生観、日本人が海外にでることが珍しかった時代のエピソード、大企業の中枢でキャリアを積み重ねて得た現場の知恵等々、普段はなかなか聞くことのできないお話しでした。
中高生にとっては今はピンと来ないこともあったかもしれませんが、大人になって社会に出たとき、役立つヒントがたくさん隠れていました。いつかそれが必要な時が来たとき、思い出してくれることを願っています。