特別講座(毎日新聞・報道の現場から)
今日はやや肌寒い中、髪をきっちりお団子に結ったバトン部の生徒達が登校してきます。どの子がバトン部か一目瞭然でおもしろいです。本番前の練習があるそうで、「昨日も特別練習をしたんですよ~」と、頑張っています。
マルチタスクの品女生。部活以外にも週末は個人で盛んに活動しているようで、朝、玄関に立っていると、「東大の理系イベントに行ってきました」「母とコミュニケーションセミナーの会に参加してきました」「家庭科のチャレンジべースドラーニングの情報収集で○○に行ってきました」と、次々と報告に来てくれます。ちょっと調子の悪い日も、こうして生徒と接していると、私も頑張ろう!とエネルギーが沸いてきます。
こうして自ら動く人に育つよう、社会の様々な情報に接する機会となっているのが特別講座です。
毎年お願いしている毎日新聞の記者の方による講座を、担当の窪田から報告します。
10月10日、毎日新聞のご協力による特別講座を、3、4、5年生から参加者を募集して行いました。例年、新聞記者の方に来ていただいて「新聞の読み方」というテーマで実施していた講座ですが、報道の現場にいらっしゃる記者の方から生の情報を聞き、自分たちで意見交換をする場として、方針を少し変更しました。
講師の記者の方は、今まで毎年違う方をお招きしていたのですが、昨年度、二度目であった政治部記者の横田愛様への反響がとても大きく、担当者側の私たちもとても感銘を受けたため、大変お忙しいことは承知の上、初めて個人へのリクエストをしてみたところ、何と引き受けてくださいました!
最初は簡単な経歴の説明から、お仕事の内容の説明へ。政治部ではチーム取材が原則であるが、担当している政治家(大臣など)は24時間監視の首相をはじめ、とにかく政治活動をしているところでは取材が基本。朝から夜まで取材し、取材後は記事を執筆するという毎日だそうです。
現在の取材トピックの大きなものとしては、「消費税増税について」。政府・与党内でも意見が分かれていて、財務省の人でさえ、どうなのかと記者へ質問してくるほどだそうです。
次に、「ディスカッションの場」のテーマとして、安倍政権の「女性の活躍推進」についての意見を問われました。2013年成長戦略の一つである「2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を30%以上に」について、どう考えるか、というものです。
現状で管理職に占める女性の割合を、業種別に分けてまとめたデータが載っている記事(現状は全体で6.2%)を見ながらの意見交換です。
生徒たちは一人一人、真剣に考えていました。「無理して数字だけ義務にしても、かえって女性が困るし、不都合が生じるので急ぐべきでない」という意見と、「まずは数字から義務にしないと、いつまでたっても女性が活躍できる社会にならないから、先に進めるべきだ」という意見の二つに大きく分かれました。
中等部から高等部の生徒へと自然な流れで意見の発表が進み、5年生ともなると、さすがにしっかりと社会へ出たときのことを考えて発言している様子に、横田様も感動していらっしゃいました。社に持ち帰り、その意見の内容を共有してくださるそうです!
とてもディスカッションが盛り上がったので、質疑応答の時間が短くなってしまいましたが、いくつか質問を受け付けてくださいました。Q.メディア方面に進みたいのですが、今しておくべきことは何ですか?また、新聞は毎日読んだほうがいいですか?
A.まずは、とにかく語学を習得すること。語学はツールとなるので必須です。
また、本を読むこと。ジャンルは歴史(日本、世界)がお薦め。なぜかというと、今の世界は歴史を土台にして成り立っているから、今とこれからの世界を見るためには歴史を知る必要があります。楽しめる歴史小説を読むのがいいと思います。
新聞は、情報としてネットから取り入れるよりも、全体が俯瞰できるのでおすすめです。ネットは、自分が求める情報しか入らないことが多いが(自分でクリックして情報を取り入れるため)、新聞は全体を見る目に情報が入ってくる「情報の一覧性」があるからです。Q.新聞の「誤報」はなぜ起こってしまうのでしょうか?
A.「きっとこうだろう」という先入観をもってしまうときに起こるのだと思います。報道する側としては先入観を持ってはいけないし、記者としては訂正する勇気が必要だと考えます。最後に、生徒の感想から抜粋します。
「今年も講演していただき、ありがとうございました。去年もこの講座に参加したのですが、今年も横田さんのお話が聞ける、ということですぐに参加を決めました。将来メディア系の職業を志望しているので、とてもためになる話が聞けてよかったです。」
「取材の現場の様子が聞けておもしろかったです。この講座を受けて、様々な媒体でニュースを見て、自分の意見を持てるようにしたいと思いました。」
「昨年も講座に参加し、横田さんの“人に伝える仕事”に触れ、そのときに私は将来絶対にマスコミ関係に進みたいと思いました。さらに、政治の世界に興味があったところに横田さんのお話を聞いて、新聞記者や報道関係に進みたいとはっきり思いました。すべて、横田さんのおかげです。」
「考え方は一つではない。」と言われたことは、本当にその通りだと思いました。正解がない問題は難しいです。日々そんな問題に立ち向かっている記者の方々はすごいです。
全体に、「新聞を読もうと思う」や「英語を勉強しようと思いました」という内容が多かったようです。参加した生徒は皆刺激を受けた様子がよくわかりました。解散後も熱心に質問をしていく生徒が多くいました。それにも丁寧に対応してくださいました。お忙しい中時間を割いてくださり、ありがとうございました。