教科イチ押し見学会 宮内庁書陵部
引率の春日からご紹介します。
5,6年生25人で、宮内庁書陵部にうかがいました。
宮内庁書陵部は、大宝元年(701)に「中務省図書寮」として成立してから、現在まで1000年以上続く機関です。皇室に伝わった文物の調査、保管、補修等を行っています。
(書陵部の先生が作ってくださった資料より)今回は、本校の28プロジェクトの取り組みを理解してくださり、見学の機会をいただきました。また、見学だけではなく、女性の先生が書陵部にお勤めになる経緯などもお話しくださり、生徒にとっては、今まで知ることのなかった分野を知るきっかけとなったことと思います。
宮内庁書陵部にうかがう醍醐味は、なんといってもその資料の数々です。
高校生の見学ということで、文学・歴史において、大きな影響を与えた資料、教科書でよく見る資料、珍しい資料などを選んでくださっていました。たとえば、
■『古今和歌集』の鎌倉時代の写本、五十四帖全巻そろった室町時代の『源氏物語』の写本
■ 花園天皇数え18歳の時の宸筆(天皇直筆)の書(現在の高校生にあたる年代だから。と選んでくださいました)
■ 最後の女帝後桜町天皇宸筆の書(女子校だからですね)
■ 貴族のカンニングペーパー「笏紙」(お内裏様が手に持っている木の板が笏。当時の貴族はその裏に儀式の次第を書いて貼ることがあったそうです。しかも、それを子孫が恥をかかないように、代々保存しいたとのこと)
■ 織田信長の「天下布武」の朱印のある書状
■ なぜか「坂本龍」で止まっている坂本龍馬の裏書(表は木戸孝允の書状)
等、貴重で、そして何より大変興味深く見られる資料ばかりでした。
あまりこうした資料を見る機会がない生徒達も、皆ガラスケースに釘付けです。
さらに、巻物などの複製を用意してくださり、巻物の扱い方や、和装本の形式について教えていただいたりもしました。はじめは、「ちょっと難しいかな」と内心懸念していましたが、書陵部の先生の御厚意と、生徒の熱意(1時間以上たっても、1つ1つじっくり見てメモをとるので、まだ全部見終わらない生徒も)で、大変充実した時間となりました。
先生が帰り際、「これを機に国文、史学に興味を持つ生徒さんがひとりでもいらしたら。と思い、準備しました」というお言葉が、胸に響きました。本当にありがとうございました。
帰りは有志で江戸城の遺構を見ながら、皇居東御苑を散策しました。丸の内のビルがむこうに見えるのに、一転して静けさがただよう林の中を散策するのは、お天気に恵まれたこともあり、とても気持ちのいい時間でした。
←皇居(旧江戸城跡散策中。石垣の穴を発見してむこうをのぞいています)
自分たちが教科書等で目にしている資料や写本が実際に存在し、それが現在も大切に保存されていること、そうした資料にその時代の人々が今なお息づいていることを感じとり、忘れずにいてほしいなと思います。
*国語科の春日の論文が出版されました。興味のある生徒は図書室へ。
『源氏物語の帝~人物と表現の連関~』