最後の模試 中学受験もそうですね
昨日は高校3年生に向けてのメッセージでしたが、中学受験の方も、そろそろ最後の判定が出て、頭を悩ませていらっしゃるご家庭もあるかもしれません。
入学後の充実した学校生活につながる学校選びの原則は、
「うちの子の幸せとは?」を家族で共有し、
その条件に「合う、合わない」で選び、(人が言う「いい、わるい」の評価軸でなく)
最後は本人が決める。
と、説明会や著書で繰り返し申し上げてきました。
その上で、この時期のアドバイスとして、生徒の親御さんから伺ったことなどから、お役に立ちそうなことをご紹介します。
① 第一志望はあきらめない
模試結果が思わしくないと、「入れる、入れない」という数字に目がいきがちです。でも、ここから伸びる子も沢山います。伸びる子に共通するのは「どうしてもここに入りたい」という強いモチベーションがあること。
「もし、ここに合格したら・・・」という楽しいイメージは子供のモチベーションを支えます。
模試は最大公約数を取った問題です。ここからは過去問勝負です。「数字が全然足りないのに思いがけず受かった!」という子に共通しているのが、過去問の研究を徹底して、その問題で合格点をとるためのトレーニングをしていることです。
② 第一志望以外は数字を付けない
私学にはそれぞれ様々な特長があります。模試の偏差値は合格可能性を探るには便利な道具ですが、その数字も含め、外から見えることはごく一部です。
それを頼りに2,3,4,5,と細かく順番をつけるより、
「ここはこういういいところがあるから、入学したらきっと楽しいよね」とそれぞれの学校の良いところを子供と話し、どこに行くことになっても入学を楽しみにできるようにしておく準備も大切です。
③ あらゆる場合のシミュレーションを
入試期間中は、親子とも、今は想像ができないような緊張感に包まれます。子供によいイメージを持たせ続ける一方で、親は平常心でものを考えられるうちに、あらゆる場合を想定して準備をしておくことが必要です。
・スケジュールは何パターンも作っておく。
強気になりすぎ、行ったことのない学校を受けることにならないよう、冒頭に書いた原則に照らした上で、併願校の可能性は広げて考えておいた方がいい場合も。説明会が終わっていても見学のできる学校もあります。(本校は見学会で対応しています)
なお、結果偏差と予想偏差に毎年開きのある学校もありますので、併願校は、最後の模試だけでなく、昨年の結果偏差も見ておくとより安全です。
・いざというときの手伝いをしてくれる親戚を頼んでおく。
受験生だけでなく、他の家族に何かが起きることもあります。実際には頼まなくても、スケジュールをブロックしておいてもらうだけでも安心感が違います。
等々、「人間のできる準備はすべてして、あとは天に任せる」くらいのレベルでシミュレーションをしておくこと。それが、この時期の気持ちを安定させることにつながります。
そして、絶対してはいけないことは、
「そんなに勉強しないと○○校に行くことになるわよ」
「△△校でいいなら、もう勉強しなくていいのよ!」
などと地域の公立を含め、志望校以外の学校を低めるような言い方をすることです。
④ 家族のケアを忘れない
・兄弟のケア
「受験生の姉にだけ気をつけていたら、弟が外で走り回って入試期間に風邪を引いて・・・」と在校生のお父さんがおっしゃっていました。
また、「お姉ちゃんは受験生なんだから仕方ない」と大人は思えても、小さな兄弟姉妹に「仕方ない」は通じないこともあります。いつもより意識して声をかけることも必要です。
・自分のケア
「模試の結果を見て、思わず、『ママの人生返してよ』と泣いてしまいました」というお母さん。お父さんがフォローしてくれてお子さんは翌日はケロっとしていたそうですが、今、無理をしすぎて気持ちをため込むと、大切な時期にいっぱいいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。入試会場でお母さんが泣いていて、受験生が慰めているという光景も目にしたことがあります。
これまで何年も頑張ってきたのに・・・本人がなかなか思うように動いてくれない・・・私が悪いのかしら・・・自分が受験できたらどんなに楽か・・・。
愛情のあまり、まるで二人羽織をしているように自分の問題と子供の問題が一緒になってしまうこともあるでしょう。
そんなときは、「子供にこうなってほしい」と「私がこうしたい」と言葉をかえて分けておく。そして、自分を大切にする時間を持つことが結果として子供のためにもなるはずです。
言い過ぎることの結果は、「親のための受験になってビクビクする」「耳にフタができる」のどちらかです。
そして、この時期のお母さんをフォローするのはお父さんの仕事です!
多くの子供達を見ていてしみじみ思うのですが、受験は長い人生の一時です。その時期はどうしてもそこだけに目が行きますが、ときどき、すこし先を見て、
「未来を犠牲にしない」 ことが大切です。
「受験生だから何してもいい」「受験が終われば何してもいい」ではなく、その先もつづく大切な価値観は守った上でこの時期をのりきれば、得るものは必ずあるはずです。
校舎のヒマラヤ桜は今、花盛りです。もう一息、この冬を乗り越えれば、春はすぐそこです。