2014/4/3 木曜日

特別講座(お金の教養を身につけよう)

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 17:32:02

今日は春雨。校内の桜が散りだしてハラハラしています。入学式まで持ってくれるといいのですが・・・。

金融経済教育の特別講座です。私も何回か同席しました。お金は夢を叶える道具でもあり、教養がないと足をすくわれるものでもあります。日本では金融経済の教育が先進諸国のなかで遅れ気味なので、将来のため、こうした教養も身につけてほしいです。

暮らしに関わる衣食住の価値と価格を知ったことで、「お父さんを尊敬した。今日、その話を家に帰ってしたい」と言っていた生徒がいました。

担当の酒井からの報告です。

ファイナンシャル特別講座「お金の教養を身につけよう」が行われました。 今回ご協力いただいたのはファイナンシャルアカデミーという、社会人向けにお金の教養を身につけるためのスクールを行っていらっしゃるかたたちです。

私はその特別講座の打ち合わせのときに、その先生方が 「『価値』と『価格』は違うので...」とか「守るお金と攻めるお金があるのに、日本人はお金は守るものだと思っている。」というフレーズを聞き、これは子供たちが生きて行く時に絶対に必要な、お金というものを多面的に見ることができる講座になる、と確信しました。 そして、お金を多面的に見るという姿勢は生きて行くためには必須の能力であり、これこそ未来ある子供たちに付けてもらうべき教養だと思い、この講座を実施することにしました。

実施したのは4回。各回テーマを持って実施しました。

第1回「信用が社会の中心で回っている」
第2回「お金は使うと減る?増える?」
第3回「年々価値が上がるもの、下がるもの」
第4回「フリーのビジネスモデルを考えよう」

■第1回目「信用が社会の中心で回っている」

ここ1年いないで大きな買い物は何か?普段自分が一番何にお金を使っているか?を書き出しました。 それを皆で名前を伏せてみせ合い、これは誰の書いたシートだろうとあて合いました。 そうすると、何を大切にしているのかが見えてくる、ということはその人が見えてくることになります。 お金は自分を映す鏡であることに気がつきます。

そして、お金を貸すとしたら誰に貸す?ということでバックボーンの違う3人の人たちを比較して、なぜその人に貸すかを皆で意見を出し合いました。 年収が1000万円だけどフリーのカメラマンは信用が高いだろうか。年収はあまりないけど旦那さんが銀行員の女性は信用度が高いだろうか。 そうやって見て行くと信用の度合いでお金は動いて行くことに気がついて行きます。 さらにクレジットカードの上手な使い方や、円天の仕組みなんかも学びながら、お金との付き合い方を学びました。

この日の生徒の感想には ・お金の見方が変わったし、これを聞いていなかったら損していたと思う。 ・お金の見方が変わりそうです。 ・先生が提出物は信用なんだと言っていたことの意味が少し分かった気がした。 などと書かれておりました。

■第2回目「お金は使うと減る?増える?」

ここでは価格と価値の違いについて主に触れました。 例えば数年前にディズニーランドのチケットを6000円ぐらいで買うのとオリエンタルランドの株を6000円で買うこと。 価格は同じですが、後者の方はずっと価値が上がっているので、今の価値は当時の価値よりも格段に高くなっている。 同じ価格を使うのであれば、これから価値の上がりやすいものに使った方が良いというお話をいただきました。 さらに、何かと貯金すればいいと思っている人たちが多い日本人ですが、実は使うと価値が上がって実際に使った価格よりも上がる可能性があるので、使う(投資)の方が賢い場合があるということも教えてもらい、貯めるしか発想がなかった子供たちも、賢く使おうという発想に切り替わっていました。 そして、自分たちが商品を売る側になった時、価値を付ける(付加価値をつける)必要があり、その実践をやってみました。 例えば色鉛筆に付加価値を付けるとしたら何を提案するか。ポイントを教えてもらいながら実践し、アイディアを出しました。

子供たちの感想には ・ものの価値をしっかり見極めていきたいと思います。 ・お金を使うにも得と損があって、得するお金の使い方をしたいと思った。 ・親が外資貯金や株をしているのをヒヤヒヤしてみていましたが、賢く使っているのを見たいと思います。 ・次買い物をするときはまず自分で値段を考えようと思った。 とありました。

■第3回目「年々価値が上がるもの、下がるもの」

ここでは海外と日本の住宅ローンの違いや、固定金利と変動金利の違いを知ったり、中古でも価値が上がるものもあることを学びました。 生徒は ・親と今住んでいる家の素晴らしさに気づきました。この考え方を家以外にも将来のことについてか考えるときに使えるようになりたいです。 と書いていました。

■第4回目「フリーのビジネスモデルを考えよう」 最終回はフリービジネスの回し方を見て、2者間だけでないお金の流れ、ものを売り買いするだけでないビジネスが世の中に存在することをまずは知ります。LINEはなんで収益が上がるのだろうか。GoogleやYahoo!やFacebookなどはただだけど、なんで資本を得ているのだろうか。知ることによって世界が広がります。 そしてビジネスを考える時にCPAやPOを意識しながらビジネスプランを考えて行くことなどを具体的に学びました。 そしてこのあと、自分で実際のフリービジネスの提案を行いました。 フリーペーパーをもし配るとしたらどこでどんな内容を載せればいいのか。具体的なアイディアを出しました。 ビジネスモデルを考えるのは難しい反面、いろいろと気づきもあるようでした。

すべてを終えたあとの生徒の感想です。

・今回の講座はお金の教養を学べただけでなく、人生の大事なことを知れた良い機会だと思いました。
・こんなにためになる講座は初めてです!今後のお金の考え方と信頼を築くことは頭の隅に置いておこうと思います。
・教えていただいたことを活かして、信用を築いて賢い人間になりたいです。
・無料のものを普段何気なく使っていたが、考えてみるととても大変だった。4回とても楽しかったです。
・社会人の人がこういうことをやっているのかもしれないと考えるとすごいと思いました。

お金は学校ではなかなか扱うことのない、どちらかと言うと”タブー”なイメージがあります。 しかしながら人が生活していく時に、お金は不可欠です。 社会に出て行く子供たちを育成する機関である学校が、これについて触れていかない方が矛盾があります。 お金は使い方。自分を映す鏡。必ず使うものなのであるのだから、賢く、正しく使って行くことを子供たちに教えて行く必要があります。 しかしながら私たち教員はその点については全くの素人。 そこでファイナンシャルアカデミーさんにご協力いただき、この講座を実現できたことは大変ありがたく、意味深いものとなったと思っております。 それを証拠に、子供たちが終わったあと「先生、この講座、絶対全員受けた方がいいと思います!!」と言いに来ました。

今回の講座を通じて、子供たちに教養だけでなく、意識が身に付いていたらいいと思っております。