2014/1/29 水曜日

人の幸せを生み出す起業

カテゴリー: 28プロジェクト:社会 — 漆 @ 17:40:49

土曜の夜は、本校を会場に高校生のための起業家講座NESの第二回が開催されました。この日のゲストは株式会社リブセンス代表取締役社長の村上太一氏(最年少で東証一部に上場した起業家)でした。

子供の時から起業を目指し、大学生のときに起業。「当たり前を発明する」ということで、画期的なアルバイトのサイトを開発しました。それまで、募集広告を載せるためには費用がかかり、小規模なお店でサイトを利用するのは難しく、そのため応募する人も募集のチラシを探して歩かなければなりませんでした。そこで考え出したのが、募集広告を無料にし、採用が決まったら報酬をもらい、応募した人にはお祝い金を出すという仕組み。 (成功するビジネスモデルには「不便や問題の解消がある」というお話が、まさにデザイン思考の考え方ですね)

スタート時の社員は自分を含めて4人。大手は数千人でやっているような仕事だったので、新しい仕組みを考えても回りの人からは「先行大手がやらないにはやれない理由があるんだよ」等々、言われたそうです。

その後、なかなかうまく行かない時期が続き、ビジネスパートナーとも別れ、ネガティブな気持ちになり、髪も白髪だらけに。サイトを手放す決心をしました。そのとき、「こんなつらいこと、どうしてやろうと思ったんだろう?」と自問するうちに、子供時代のこと、高校時代、文化祭の副委員長をやったときのことなどを思い出し、「自分は人に喜ばれるのが好きなんだ!その軸は変わらない。ここでやめてもまたきっとやりたくなる」と思い直して、会社を継続したそうです。

会社の売却を約束していて迷惑をかけた相手が言ってくれた言葉が、「選択肢があると弱くなる。生涯起業家であるという意志決定をしろ」

このとき、「感情だけが原動力だと、感情のブレに踊らされる。やりたいことを言語化する」ということを知ったそうです。

もうだめ。これ以上は思いつかない。という「壁の向こうに発展の機会がある」(冒頭で述べた応募があったら報酬をもらうという仕組みも、壁に当たって生まれたものだそうです)

会社のマークは「?」を逆さにしたような形なのですが、これは「なぜ?」を大切にするということと、しずくが岩を穿つように少しずつでも継続することの大切さを示しているそうです。

最後に、高校生達に、「好きなことをやる」「一人の夢はただの夢、みんなの夢は現実になる」という言葉を贈ってくださいました。

自分が若い頃、先輩起業家から話を聞く機会に恵まれ、すごい人だなぁと思っていたら、その方から、「君たちの方がすごいんだよ」と言われたことがいま、高校生を目の前にしてよく分かるとのことでした。

若いからこそできることがある。未来は無限に広がっている。その力を活かして、本校の生徒達にも、社会をよりよく変える人になってほしいと願っています。

今朝、この講座に参加している生徒が、「講座に参加している子は意識が高くてやってることが違う。英語も、海外サイトで普通に情報収集したり、会話したりと、レベルが違う。プレゼンのとき、手を挙げようとおもったけど、ドキドキしてできなかった。でも、チームリーダーに立候補したので、頑張る」と言っていました。

これからの時代を築く世代には横のネットワークも必要です。居心地のいい自分の場所から一歩踏み出し、学校や国の枠を超えて多様な人と交流し、協働する。そんな機会もどんどん提供していきたいです。

*村上さんのことが詳しく書いてある本「リブセンス」は図書室にあります。

*明日(30日)、ダイヤモンド社書籍オンラインに、松田悠介さん(Teach For Japan/CEO)との対談(後編)が掲載されます。