夏休みの宿題
東京オリンピック、決まってよかったですね。そこで思い出したのが前回の招致活動のこと。明日はその話を。
さて、始業式の翌日、図書委員が私と理事長のところにきて、
「先生のおすすめブックリストの原稿ありがとうございました。早めに出していただける先生がいらっしゃると助かります」
うん?私は締め切り日の始業式ギリギリに出したんだけど・・・・。
自由そうに見える本校ですが、時間や約束ごとには厳しいです。将来、どんなに才能があってもチームで仕事をするとき、これが守れないと信頼されないからです。
同じ日、階段をうつむいて歩いている子がいたので、「どうしたの?何かあった?」と聞くと、
「宿題をやったのになくしてしまったんです。友達と一緒にやったので、目撃者もいるんです」(と、友達を指さす)
友達A 「でも、そんな話きっと信じてもらえないよね」
友達B 「日頃の行いだよね」 (厳しいコメント)
私「う~ん、確かに、伝え方を考えた方がいいかもね。私だったらどうかな。いきなり言い訳から入られたらだめかも。ところで、何先生?」
本人「○○先生です」
私 「それなら論理的に結論からね。いずれにしても戦略をたてた方がいいわね。ま、これも経験だから」
友人一同 「じゃあ、いっしょに戦略をたてよう」(と、励ます)
実は、私にも同じような経験が。小学生の時、冬休みの宿題の書き初めのお手本をなくしてしまったのです。
担任の先生はとても厳しかったので、食事も喉に通らない暗い正月を過ごしました。
そんなある日、道でばったり会ったクラスメートが、暗い表情の私にどうしたの?と声をかけてくれ、
「○○文房具店に、コピーという機械が入ったんだって。一緒にいってみようよ」と一言。そして、お手本を家から取ってきて、私をつれて行ってくれたのです。
当時、コピー機は珍しく、私はそんなものがあることも知りませんでした。(半世紀近く前ですから)
そして、コピーなるものの威力を目の当たりにし(今だったら3Dプリンターというところでしょうか)書き初めを完成させ、提出期限の始業式を迎えました。
それでも、先生から「そんなずるいこと!」と叱られるのではとドキドキしながら、事情を話しました。
すると、思いがけず、あっさりと受け取ってくれたのです。
正直に話すこと、自分にできるベストを尽くすこと、そして、一人で抱え込まず友達に相談することの大切を学んだできごとでした。
さて、さっきの生徒に話をもどして・・・その後どうなったか心配だったので、担当教員に聞くと、
「まず、もう一度、探しなさいと伝えました。まじめでいつもやることはきちんとやる子ですから」とのこと。
日頃の行いがよかったのね。
そして、朝、玄関で会ったので、「宿題あった?」と聞いてみたら「ありました!」と笑顔。
私もほっとしました。
(この話、書いていい?と許可をとって書きました)
*文藝春秋十月号(P340~P347)にインタビューが掲載されました。
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