2013/6/15 土曜日

グローバル人材に欠かせない共感力

カテゴリー: 28プロジェクト:世界,お知らせ — 漆 @ 17:19:12

世界経済フォーラムで様々な国の人々と接し、これからのグローバル人材に欠かせない力の一つとしてエンパシー(共感力)があると痛感しました。

たとえば、日本で「幸せとはどんな状態か」と聞かれたとき、どんな話になるでしょうか?

「お金より友達よね」など、経済的なことと人間関係的なことを比較した意見が出ることが多いかもしれません。

ミャンマーで、スーチーさんの口から出た言葉にはっとしました。

「殺されたり、家が焼かれたりする心配をしないで眠れるような生活を保証したい」というものでした。

マズローの欲求段階説によれば、人間の欲求は,5段階のピラミッドのようになっていて,1つ目の欲求が満たされると,次の欲求を志すといいますが、自分は生理的欲求や安全の欲求が満たされていることを当たり前のこととしてとらえていたことに気付きました。

文化や環境の違う様々な背景を持った人が集まると、議論の前提が違うので話がなかなかかみ合いません。多様性が大切などと、簡単に口にしていたことを恥ずかしく思いました。

特に環境問題になると互いの利益が相反するので深刻です。食糧問題では、飢餓に苦しむ国の人を助けたい、でも、穀物食の人たちが肉を食べるようになると、そこに何倍ものエネルギーコストがかかるのをどうしよう、自分たちの生活は維持したいし・・・・と理想と現実、本音と建て前の間で堂々巡りになります。

生徒達がこれからの時代、世界の中で生きていく上で、他者の立場になって感じ考える能力、エンパシーは必要不可欠なものだと再認識しました。

*ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)をサポートするアショカジャパンのイベント案内です。本校で講演をしてくださったノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌスさんもアショカ・フェローの一人です。

火曜日にお目にかかり、講演のお礼を申し上げました。

アショカジャパンは今年7月より5年間エンパシー・キャンペーンを始めます。エンパシー(他者の立場になって感じ考える能力)が、21世紀リーダーとしての最も重要な資質であるという認識のもとに、目に見えるかたちで、子供たちからエンパシーを引き出し伸ばす取り組みを考案し実行しているイノヴェーターの講演、対話会、会話の場などを展開する計画です。

来週、5年生以下のクラスで担任から話をし、チラシを掲示します。事務所前にもおいておきますので興味のある人は持って行ってください。

7/8  月曜 18:30〜21:00  アショカジャパン講演会 生徒も大人も参加できます。

@慶応大学GSECホール(三田)参加費:3000円(学生2000円)

7/12 火曜 19時~21時半(1830開場)子育てについて対話する会。保護者の方むけです。

@ウエズリー・センターWESLEY CENTER  港区南青山6-10-11 ROOM 205

参加費:5000円(軽食付き)  ファシリテーター: 由佐美加子  熊平美香

申し込み方法:6月22日までにJAPAN@ASHOKA.ORGまでメール連絡、またはこちらの申し込みフォームにて申込。

MARY GORDON メリー・ゴードン
2002年選出アショカ・フェロー カナダ出身の教育アントレプレナー。

心の教育の第一人者。大学卒業後、かねて夢みていた幼稚園の先生となってすぐに子供たちの間の仲間外しやいじめなどの現実を眼の当たりする。
その頃たまたま幼稚園を訪れた友人が連れてきた生まれて間もない赤ん坊に幼稚園児が一斉に注目し目を輝かせて周りに群がる様子を見て、直感的に赤ん坊の持つ威力を感じ取る。
この勘を頼りに1996年ルーツ・オブ・エンパシー(Roots of Empathy)の前身となるプログラムを実験的に開始。

この取り組みが、参加した子供たちの自分と他者の感情を認知する画期的なプログラムとして発展。
これまでにROEのプログラムに参加した子供の数はカナダを含むグローバルで50万人を超える。
2010 年、国連識字デーの基調スピーカーとして招かれ、「字」ではなく「感情」を読む能力としての「感情リテラシー/emotional literacy」の重要性を語り、以来、教育の土台としての「感情リテラシー」が注目されるようになった。トロント在住。

ROOTS OF EMPATHY ルーツ・オブ・エンパシー(ROE)
1996年トロントでメリー・ゴードンが立ち上げた教育プログラム。
週1回(40~45分間)9ヵ月の間、ROEプログラムに参加した4才~14才の子供たちの間で仲間外しやいじめが90%減少するという調査結果がでている。

プログラムは生後2ヵ月~4ヵ月の赤ん坊を囲むセッションと、そのセッションの後に赤ん坊と対面し観察した経験を通して子供たちが自分の心理を掘り下げる時間から成り立つ。
怒り、喜び、妬み、孤独感など様々な感情が自分の中にあることを,子供たちが知り、プログラムが行なわれる9ヵ月間にそれぞれの感情を客観的に理解し言葉でその気持ちを表現する能力が培われる。
いったん自分の感情に焦点を当てる習慣が身につくと他者の感情にも敏感になるという成果を生み、その結果いじめや仲間外しが90%減少することがブリティッシュコロンビア大学の調査によって実証されている。

現在、米シアトル市のワシントン大学で MEG(脳磁界測定装置)の画像技術を用いてROEに参加した子供たちの脳に起きる変化について研究が行なわれている。
2013年末までに結果が発表される予定だ。 ROEプログラムは、カナダ全国の小学校で導入されている他、オーストラリア、英国、スコットランド、米シアトル市、マン島に広がっている。
また、非英語圏の第一号として2012年秋、ドイツに導入された。 これまでにROEに参加した子供たちの数は、50万人を超える。