明日は合唱祭
いよいよ明日は合唱祭。インフルエンザが流行ってしまい、学級閉鎖ギリギリのクラスが。治って出てくる子の人数と休みはじめる子の人数が行ったり来たりで毎日ヒヤヒヤです。今年度のクラスで作り上げる最後の行事、なんとか乗り切ってほしいです。
先日、30代の卒業生が「合唱祭のシーズンですね。今頃、後輩達、もめてるんでしょうねぇ」と言っていました。
合唱はクラス全員が心を合わせて一曲の演奏を作り上げなくてはなりません。準備期間は長くなく、みんなが集まれる時間帯も限られているので、寒い冬の朝から集まって練習するクラスがほとんどです。
同じ目標に向かう時も、こうしたいという考え方は一人一人違い、クラス責任者、指揮者、伴奏者、パートリーダーなど、クラスの中心になる子と、クラスメートの間に温度差も生じます。
あるとき、中学生にこんな質問をされました。
「先生、私、クラス責任者になったんです。今年はどうしても最優秀賞を取りたいんですが、朝練に出てくれない人がいるんです。そういう人を説得するのはすごく難しくて。そういう子はほおっておいてやる気のある人で高い目標を目指すか、諦めないで全員が出てくれることを目指すかどっちがいいと思いますか?」
難しい質問です。「う~ん。私も分からないから、やってみてどうだったか教えてね」と答えました。
テストには「正解」がありますが、人生には正解がありません。たぶんこっちだろうという答えを見つけ、それが「最適解」になるようにしていくしかありません。
将来仕事を持ったときも、一人でできることは少なく、みんなでやらなければならないことの方が多いでしょう。自分が正しいと思うことも相手から見たら正しくないこともあります。むしろ正しい立場にいるときほど、大きな声には気をつけなくてはなりません。
「強い言葉で言うとみんなが協力してくれなかったけれど、優しい言葉で言ったら協力してくれた」
「友達なのに協力してと頭を下げて頼んだ」
「人をまとめるには、相手の立場になることが大切だと学びました」
「任せる勇気を学びました」
「リーダーだけじゃなくて、支える仕事も大切ですね」
これも生徒の言葉です。
みんなの為にやっているのに文句を言われ、孤立することもあるでしょう。
声の大きい人に仕切られて、嫌な気持ちになることもあるでしょう。
もめて、泣いて、話し合って、そして、人と自分の違いを知って、みんなの力を活かし合えたとき、心に響く合唱になるのでしょう。
「賞」を目指して頑張るのだろうけれど、どんな結果が出てもみんなで一つの物を作り上げたそのプロセスは消えません。
頑張ったからこそ頑張った他のクラスに拍手もおくれます。
もしかしたら、今年はつらい思いの方が大きいままに終わってしまうかもしれません。
でも、今は気づかなくても、うまくいかなかったこともすべては未来ためのリソースになるのです。
明日、合唱祭の最後にはクラスが、学年が、学校が一つになるそんな気持ちをみんなで味わっていたいですね。