2007/1/5 金曜日

教科イチ押し⑮JICA

カテゴリー: 28プロジェクト:社会 — 漆 @ 12:04:00

これも、英語科のイチ押しです。引率の上山のコメントです。

広尾にある「JICA地球広場」に行きました。最初、「JICAはどのような活動をしているのか」についてのお話しがあり、次に、「青年海外協力隊員の体験談を聞いて頂きます」とのアナウンスがありました。

後のドアが開き、若い男性が一人手を振りながら元気よく入って来ました。
   "Monin! Monin! Mi hamamas wantaim bungim yupela olgeta!"
"Nem bilong mi Atsushi. Wanem nem bilong yu?"
木肌色の帽子をかぶり、黄色と赤の鮮やかな色の服を着ていて、前列のある生徒に、自分の質問に答えて欲しいという様子でマイクを向けました。

みんなあっけにとられた様子で、やや緊張感が走りました。
「何語を話しているんだろう。英語のようでもあり、でも、英語ではないし・・・。」 
マイクを向けられた生徒は、戸惑った様子で黙っていると、もう一度、"Nem bilong mi Atsushi. Wanem nem bilong yu?" と言いました。

マイクを向けられた中1は「名前を聞いているんだな。」と思い、"My name is ~ ." と、答え始めました。
すると彼は、首を横に振り、もう一度、 "Nem bilong me Atsushi. Wanem nem bilong yu?" と尋ねたので、
Nem bilong me ~." とその隊員の自己紹介文にあわせて答えました。

彼は、笑顔で大きくうなずき、次の生徒にも同じ質問をしました。その生徒もまた、同じように答えました。さらに、2-3の生徒に同じ質問をしましたが、みんなOKでした。

次に「英語のようであり、英語とは違うなという言葉」で、「自分はパプアニューギニアに行っていたんだが、パプアニューギニアはどこにあるか。」という質問をしました。
白版におおざっぱな世界地図を描いて、指さしながら話したので、みんな何となく質問内容が分かったようで、アフリカ?アジア?アメリカ?と全ての大陸の名前が出てました。
ずっとこのまま分からない言葉を聞き続けるのかとの戸惑いの気持ちが高まってきました。

 すると、部屋にある大きなスクリーンに、日本語の文字が映りました。自己紹介の文が日本語で書いてありました。
それから、その方は、急に日本語で話し始めました。
「日本人ですよ、僕は。ちゃんと日本語が話せますから。」と言って下さったので、みんなホッとした感じでした。
 
この方は体育大学を卒業されて、体育の教員を目指していらっしゃったそうですが、青年海外協力隊員の募集に応募し、見事採用され、研修を受けた後、パプアニューギニアに派遣され、2年5ヶ月体育の教師として活動されたとのことでした。

パワーポイントを使って、現地で撮影された写真をうまく組み合わせて、現地の様子を分かりやすく説明して下さいました。その方が、かぶっていらっしゃった帽子は木の繊維を使って作った民族帽子であること、派手な服は、2003年に行われた大洋州大会(South Pacific Game)に参加した代表選手のユニフォームだということ、’英語のような言葉’は、英語を簡単にしたような言葉で、パプアニューギニアの共通語で、ピジン英語だということを教えて頂きました。

 お話しの中で、一番印象に残っているのは、体育祭についての話しでした。現地での1年目に、体育祭の時、200メートルのトラックを作って体育祭を行ったら、700人位いる生徒の内、100人位しか参加しなかったそうです。
しかも参加している生徒達の表情は、つまらないといった様子で、だらだら走っている写真を見せて下さいました。おおらかで、大きな校庭を持つ国では200メートルの、トラックは受け入れられなかったそうです。翌年にはトラックを400メートルにすると、ほぼ100%の生徒が参加したそうです。
トラック上を走っている生徒達も生き生きしていました。体育祭への参加率のこの違いは、他の理由もあったそうですが、トラックの大きさも、大きな理由だったということで、文化の違いを感じました。

 体験談を聞かせて頂いた後は、生徒達が最も楽しみにしていた、JICAネットを使ってTVミーティング形式で行うマレーシアの人との交信でした。

部屋にある大きなスクリーンの右下にこちらの映像が映りました。その映像がマレーシアに送られているので、嬉しくて、手を振っている生徒もいました。
マレーシアにあるJICAの事務所にお勤めの2人の男の方が対応して下さいました。この日、JICAを訪れた生徒は30名で、接続時間が30分だったので、1人1分の持ち時間でした。
生徒達、一人一人が事前に英語で質問を用意していて、TV画面に向かって臆することなく話しかけました。うまく質問が伝わらなくて、何度か繰り返さないといけないような場合もありましたが、一人一人の質問に丁寧に答えて頂き、マレーシアへの理解も深まり、とても良い体験をすることができました。
"What is your traditional food?" の質問や、"What is your traditional clothing?" の質問に対して、すぐにコンピューターで検索して、伝統料理や伝統の衣服をTV画面に送って頂き、映像を見ながら説明を聞くことができました。
コンピューターを使うと、こんなことも瞬時にできるのだなと感動しました。
 青年海外協力隊員の方のお話しと、マレーシアとの英語での交信と貴重な体験をすることができ、有意義の教科一押しでした。

帰り際、職員の方が、「生徒さんが英語を使うことにすごく慣れている学校なんですね。」と言って頂き、嬉しく思いました。