2012/8/18 土曜日

⑧大学出張授業(立教大学・臨床心理学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 15:42:52

閉校期間が明けて今日から学校です。生徒もちらほら登校しています。

休み中に家の大掃除をしていたら、やってしまいました。あれを(>_<)

来客がある度、とりあえず片付けて、後で整理してから・・・というものをどんどん家の隅へと送っていった「積年の山」を「断捨離」したのですが、

閉まらないトランク、前の車のチェーン、夫の2世代前のゴルフクラブ、問い正すべき2003年の書類、人生ゲーム(誰のじゃ!)

と、やや怒り混じりに「えいやっ」とパイプ椅子を3つ持ち上げたその瞬間、腰がギクッと・・・。

ここで中断せざるを得なかったので、家は空き巣が入ったような状態、しかも、白髪染めのヘアマニキュアを塗ったままやっていたので、流すに流せず・・・・。

4キロ泳いで、120キロ自転車を漕いで、30キロ走ってから焼き肉屋に行ける私が、なぜなのぉ~~(T_T)

夏休み中でよかったです。

ということで、学校が始まりほっとして、腰痛バンドを巻きながら職員室でブログを書いている私です。国際フォーラムも見に行きたかったんですが。

猛暑の疲れが出る頃、冷たいもので胃腸がやられると腰に来るそうです。みなさんもお気をつけください。

では、気を取り直し、出張授業の続きを。担当の窪田からの報告です。

テーマは「思春期のこころと悩み」です。
臨床心理士は国家資格ではなく、基本的には大学院まで出ると資格が得られるということです。一般的には精神科の病院に勤め、その後独立・開業するケースが多いそうです。

講義内容をご紹介します。
1.思春期の様子
思春期(中高生)に入ると、それまでの時期(小学生)とは違い、急速に「全体の中の自分」に気づき、自分のことを意識して悩む傾向があります。群れの中でもやっていけない無力感を感じるのです。「こんな自分」ということを考えるようになり、それが強くなりすぎると病気の状態になります。
第二の分離個体化(親からの分離)がまだ完成していない時期であり、自分の悩みもわからないケースがあります。さらに、納得のいかない自分に気づくこと、自意識過剰に陥り、無力感に襲われたりします。
脳の発達から見ると、思春期・青年期には前頭葉が発達し、他者に写るであろう自己への過剰な関心が高まって、対人恐怖症や摂食障害などの現象となって現れます。そのうち、最も深刻なのが摂食障害です。
思春期に多い病理現象としては、不登校・引きこもり・強迫状態(こだわりの傾向)・対人恐怖症・醜形恐怖症・摂食障害・不安定状態(境界性人格障害…突然手のひらを返した態度に出るなど)・ヒステリー・解離性障害(多重人格)・非行・自傷行為などがあります。(個々の項目で、様々な具体事例を紹介していただきました。)

2.臨床心理学の活動分野
①企業からの調査依頼…調査に基づいてデータの解析をします。
たとえば、化粧品会社からの依頼で行った調査の結果、「自分を意識する傾向」は、40歳以降の女性からは激減することがわかりました。ここからいえることは、その年代以前の化粧とは、「人から見られるためのもの」であり、40台以降になると「自己満足」のためのものになるのです。
②産業医…大手企業から、「採用の段階で、将来うつ病を発症しそうな人を調べてほしい」という依頼がきます。しかし、それを事前の段階で予測するのはかなり困難です。

3.最近の傾向
対人恐怖症(社会不安性障害)が増加していること、身体醜形障害が起こりやすい状況があります。また日本に特有の問題として、メディアやテレビゲームがあげられます。日本は世界一、子どもがメディアやテレビゲームに接している時間が長いのです。あまりにも長時間接すると、脳の前頭葉機能が下がる場合があるので、注意が必要です。

4.「人間(生き物)のすばらしさ」について〈まとめ〉
①強制収容所から解放された方の29%は健康である。
②籠で飼われた犬は弱いが、3分の1は絶望しない。
③強制収容所から解放された3~4歳の子どもたち6名は、連帯意識が強く、他の仲間を守ろうとする傾向があった。
人間・生き物は、絶望状態に陥っても健康状態を保ち、希望を持って生きることができるのだということです。これは、何とすばらしいことではありませんか。
臨床心理学の60分間の講義を通じて、この学問分野は人間の心の動きを科学的に分析すること、それをさまざまなケースに当てはめて活用するものであり、それを活かすためにはやはり個々の臨床心理士の方の経験に基づく資質と意識が大きく関わっていると感じました。
思春期だからこそ心の動きに敏感になる時期であり、その動きを的確に、多方面から見ることができる臨床心理士の先生にお会いできると、不安な状態から解放され、自信を持って生きるきっかけがつくられるのです。
生徒は鍋田先生の話に引き込まれ、その様子から、臨床心理学の可能性の大きさに魅力を感じていることが伝わってきました。