2012/6/13 水曜日

東京大学 研究施設見学

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 19:20:43

28プロジェクトで将来を考えるとき、理系は卒業後の仕事とイメージを結びつけやすいので進路の選択肢として考える子も増えつつあります。

一方、文系に比べると受験できる学校数が少なく、数学、理科2科目を男子生徒と競い合う厳しさもあります。

卒業生に聞くと、「入学後は充実した大学生活が待っているが、それは同時に厳しく忙しいものでもある。就職率も高いが、大学院までを視野に入れておかないといけない分野もあるので、後輩には覚悟を持ってよく考えてから志望することを勧めたい」と言う子もいます。

そういう事情を踏まえ、大学と社会がどうつながっているかを知り、正しい知識と高いモチベーションをもって進路選択を考えるきっかけにと、毎年、以下のような見学会に参加しています。

引率の理科科、石渡からの報告です。

毎年行われている、「未来の科学者のための駒場リサーチキャンパス公開」に参加してきました。
3年~5年を対象としていて、今年は試験最終日の参加だったため、なんと68名もの生徒が参加しました。

駒場リサーチキャンパスとは、目黒区駒場にある「生産技術研究所」と「先端科学リサーチセンター」を中心とした東京大学の研究施設です。
向かうまでに、事故で電車が止まっているなどのアクシデントもありましたが、無事到着した68名。
「東大」の名に興奮気味の生徒たち。「赤門くぐりたい」との声も上がっていました。
・・・ここには赤門はありません。

コンクリート打ちっぱなしの研究施設の門をくぐり、 講堂にて担当の大島先生 (中高生を対象に研究紹介や出張授業を行う東大生研SNGの代表,教授。校長と同じ高校、同じ学年) のご挨拶のあと、 事前に希望をとっていた5グループに 分かれて 各2つの研究室を訪問し、 説明していただきました。

私が引率したグループが最初に向かったのは「視覚情報工学」の研究室。
最近の研究内容である「複合現実感モビリティシステムによる文化財復元展示」の説明をしていただきました。
簡単に言うと「仮想3Dメガネ」。PCでプログラムしておいた映像と、現実世界を重ねて見ることができるシステムです。

メガネをかけて見ると、何もない中庭に五重塔が出現したり、映像の人が楽器の演奏をしたり舞を踊ったりと、生徒たちからは感嘆の声が上がっていました。 これによって遺跡跡や被災地での思い出の建物を大きさの実感を伴いながら復元することが可能となります。

次に伺った研究室は「環境触媒、材料科学」の研究室。近年、放射性物質の吸着除去として話題になった「ゼオライト」の酸触媒としての性質を中学生でもわかるように説明していただきました。

先生「Alは3本の手を持っています」
生徒A「・・・」
先生「少し難しかったかな」
生徒B「いや、わかります。昨日あった理科1の今回の試験範囲です」
生徒A「・・・」
ここでは酸触媒を用いた蛍光物質合成の実験も体験させていただきました。

各グループ1時間強で研究室を回り、アンケート記入後は解散、自由見学となりました。
私も個人的に回っていたのですが、多くの生徒が自由見学で積極的に興味のある研究室のドアをたたいていました。

自分の細胞を観察し、それをポストカードにしてもらっている生徒もいました。 この「リサーチキャンパス公開」への参加者は毎年増加傾向にあります。 「来年も絶対に参加する」と言っている生徒も多いですし、来年も是非伺えることを楽しみにしています。

 

報告にあった私の同級生の大島教授、若くして東大の教授になったとき、「大変だったでしょう。どんな苦労があった?」と生徒の参考にしようと聞いたら、まじめな顔で

「アイスクリーム絶ちしたの」とのこと。