特別講座『福島原発事故で何が起こったか』
昨日は、理事長の同級生、山田太一さんのお話を聞きました。マイナスの素敵さ、豊かさに光を当てたお話でした。
例えば、弱い音が美しいショパンの曲を、大ホール演奏しようとして、性能のいいマイクで音を拾うと、それはもはやショパンでなくなってしまう。
携帯は便利だけれど、それがなかった頃の、すぐに連絡がつかないもどかしさ、待ち合わせで行き違ったときの不安・・・そのもどかしさによって育つ感情が育たなくなる。
機能性を追うために手が届かなくなるもの、美しさを失ってしまうものがあるというお話でした。
年をとればほころびがある方がいい。いつも前向きなのはむしろおかしい。あきらめるということも大切という言葉にほっとしました。
その山田さんが震災のその後を描いたドラマが土曜に放映されます。これまで、ドキュメンタリー以外は手をつける人がいなかったテーマだそうです。
『時は立ちどまらない』テレ朝系 22日土曜 夜9時
さて、一昨日行った、震災の原発問題を考える特別講座の様子を社会科の大井から報告します。
2月18日に、『福島原発事故で何が起こったか』をテーマに、『避難弱者:あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?』の著者である、国会事故調査委員会のメンバーであった相川祐里奈様を講師に迎え、特別講座を開催しました。中等部1・2年生の有志を対象に、社会問題に対して意識の高い子たちが集まりました。
はじめに、相川様から原発事故の様子や事故調の紹介など、わかりやすく概要を説明していただきました。 外国から見て日本がどのように写っているのか、風刺画が紹介されたときには、日本人としてショックを受けました。
また未曾有の大事故で、段階的な避難のために、施設の高齢者が何度も移動を余儀なくされる、といったお話を伺ったときには、生徒たちも沈痛な面持ちでした。 5~6回も移動を繰り返した方もおられたとのこと、高齢の親を持つ自分にとっても他人事に思えなくなりました。
また放射能の直接的な影響のない人でも、ストレスに苦しめられている人も多く、新聞やテレビなどで知っていたつもりだったのが、恥ずかしい限りです。お話は、豊富なデータやテンポの良いイラスト動画(『わかりやすいプロジェクト 国会事故調編』のホームページにもありますので、ぜひご覧下さい)などを用いて、中学生でも理解しやすい内容でした。
講演のあとディスカッションタイムが設けられました。
「事故では、事前の対策・訓練が不足している、想定しておくことが大事。もっと事故について知ろうと思う。」
「もう、終わったことと思っていた。家族とも話してみようと思う。」
「今まで遠いところで起きた出来事で、他人事の用に感じていた」
メディアについても、
「日本の報道自由度評価が、事故後大きく下がったのは、先進国として問題。」
「現状を海外の人に自分の言葉で発信できるようになりたい」
という意見が、活発に交わされました。
今回の講演で、事故当時小学生であった生徒たちが、あらためて事故について考え、避難の中で苦しむ人々に思いをはせる機会になったと思います。講演の中で仰っていた「無関心から関心へ 知識から行動へ 一歩から継続へ」という言葉が印象に残りました。
生徒のために、このような機会を与えていただきました相川様や関係各位にお礼申し上げます。
*今回参加して、さらに学びたい人、また、今回参加できなかった人、芝の日本赤十字でもセミナーがありますので、是非、参加してください。中3から高3向けなので、のちほど、4年生、5年生にプリントを配布します。
第二回赤十字原子力災害セミナー
日時:3月15日(土)10時30分~16時00分
場所:日本
対象:中学3年生~高校生
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