特別講座(早稲田大学文学部教授・中島国彦先生)
今日も暑いですね。夏物を片付けてしまい、何を着たらいいの?という方も多いのではないでしょうか。
昨日、コルベカレッジからのお客様が帰国しました。「一生の思い出です。ホストファミリーの皆さんには本当によくしていただきました」と、感謝を述べていらっしゃいました。ご協力ありがとうございました。
今は、ネットを利用すれば海外と簡単に会話もできる時代なので、こうしたご縁をこれからもつなげていきたいです。
コルベカレッジの萩原先生は生徒が英語で交流できる特別講座もしてくださいました。この様子は後日。
昨日はソニー株式会社に特別講座で行ってきました。一度に参加できる人数が限られているため、3日に分けて見学、ワークショップをしてくださいました。
特別講座は様々な分野で行われています。大学の先生に専門的な授業をしていただくこともあります。
そんな国語科の特別講座の様子を、担当の飯塚から報告します。
早稲田大学文学部教授、中島国彦先生の講義は、約2時間にわたって行われました。
中学1年生のみなさんは、使用している教科書(明治書院 『現代文学名作選』)の監修者でいらっしゃるということもあり、熱心に講義を聴き、質問をしていました。 講義内容は、荒川洋治さんの本に基づき行われました。大事なことは3回繰り返すです。
東京オリンピック招致のプレゼンでも、vote for Tokyo と3回繰り返されました。
『夢十夜』も繰り返しが出てきます。「こんな夢を見た・・・」、おまじないのようです。
その繰り返しによって思わぬ効果が生まれます。「繰り返し効果」です。言葉の群がりが、繰り返しだそうです。三好達治の詩の「乳母車」のお話でしたが、繰り返しによって作者が思いもよらないことが生まれてしまう、全く違うような世界に迷い込んでしまうことがあります。それを作り出すのが、「詩」です。中島先生は、それはまた「文学」だともいいます。説明する文章ではない。作者が考えている以上のものをつくる(生まれる)のが、詩であり文学です。
明治書院の『現代文学名作選』の中の『よだかの星』にも繰り返しが使われています。繰り返しの中も少し変化して、よだかが星に頼み事をするときの呼びかけで「お星さん」から「お星さま」になります。その変化の中にすがりつきたい気持ちがうかがえます。微妙な変化も文学を読む上で大切です。
次に北村太郎さんのことばから、辞書と詩を読むことが大切というお話。
たとえば辞書で「品川」を引いたとき、ある場所を説明したものではだめで、マラソンコースとなっているなどの体験に基づいた説明があるのがよい辞書だということです。
諸橋轍次氏の『漢文体系』にある「一」の説明は、50ページ以上あるそうです。自分の辞書を作るには引き出しを多くするのがよいことです。つまりは、自分が多くの体験をしておく(本を読むことも含めて)が大切で、それをしておけば、ことばをよく知るということになるのではないでしょうか。
そして、詩を読んでくださいということ。「詩は、未知のショックを心に与え、新しい力を魂に与える。」からです。飯島耕一さんの『ゴヤのファースト・ネームは』を引用し、強い興味を持つことの体験(これが詩でしょうか)の大切さも強調されました。
さらに、「答えの出にくいもの」について。
荒川洋治さんの『羅生門』についての評は、「答えの出にくいものである」ということでした。『ハムレット』も「わからないもの」で、それが『ハムレット』だということです。
「わからない。不思議な世界」があるということを体験する。これが文学の醍醐味ではないでしょうか。
まとめると、『坊っちゃん』から、最初、人物像を作者(夏目漱石)は決めて書こうとするが、対立していた山嵐が変化して仲間になるように、書いているうちに何かが生まれるのが文学だということ。『夢十夜』も、わからないところがある。それは、わからなくてよい。何かわからないものがあるということを感じる(わかる)ことが大切なのです。それは、ことばが、何か不思議なものを生み出しているものだからです。それが文学というものなのです。
これが、講義の内容でした。
その後、数名の生徒から質問がありました。
■質問「大学で研究していることは?」
答え「いろいろなフィルターをかけ何度も作品を読んで解釈をしている。」■質問「最近一番おもしろい本は?」
答え「田中正造の日記を最近読んだ。ファンタジーはおもしろい。」■質問「おすすめの本は?」
答え「夏休みに出る各出版社からの文庫紹介の冊子を見るのはいかがでしょうか。」
質問も含めて2時間近くの講義が終了した後も数名の生徒が個人的に中島先生とお話をしました。中島先生、ありがとうございました。
今日は、午前中はPTA芳葉会説明会、3年生の保護者向け講演会、午後は3年生の保護者会、その後、来週収録するBS-
今日のプレゼンターは衆議院議員の細野豪志さんとライフネット生命の岩瀬大輔さん。この番組は面白いので、是非ご覧ください。時事問題を取り扱うことが多いので、社会科の勉強にもなると思います。
明日は四谷大塚の模試会場になっており、受験生のおやごさん向けにお話をします。この時期からエンジンがかかって伸びる人も多いので、6年生も小学生も秋まきの種が春に開くことをイメージして頑張ってくださいね。