2014/12/19 金曜日

⑩早稲田大学連携授業(人間科学部)

カテゴリー: 早稲田大学 — 漆 @ 16:30:16

今日、明日は保護者と担任の面談日です。
早稲田大学連携授業の続き、担当の大川から報告です。
私も2年前にサウジアラビアに行き、様々立場の女性と話し、それまでの自分に思い込みがあったことに気づきました。
また、先日は日本を代表するような僧侶の方から、大学ではイスラム学を専攻し、中東に留学していたと伺い、驚きました。
グローバル時代には、偏見を持たず、まずは体験し、様々な文化への共感力を深めることが大切だと感じました。

「イスラーム社会の女性」
人間科学部 大川 真由子 先生

まず、人間科学部と先生の研究を紹介していただきました。人間科学部は、環境・情報・健康福祉の3つの側面から人間を総合的・学際的にとらえる視点で研究を行うという学部であり、大川先生は、社会人類学の中東地域研究の専門とされ、オマーンで現地の人たちと衣食住をともにしながら、フィールドワークを行い、データをとり、研究を進めていらっしゃいます。ふだん、あまり知る機会のない、イスラーム社会の女性について、先生の実体験を交えながら講義をしていただきました。以下、講義の概略です。

1ムスリムについて
ムスリムは、中東地域に多く、人口は約16億人で、これは世界の人口の約5分の1 にあたり、2030年には、世界の人口の約4分の1をムスリムが占めると予想されてい る。日本では、イスラーム社会の女性は抑圧されているというイメージをもたれがちで ある。しかしながら、世界経済フォーラムの指標によれば、日本もオマーンも100位以 下という点では同じである。何を指標として、はかるかということが問題となる。『コ ーラン』によれば、「男性は女性の擁護者。神が男性の方を強くし、女性を弱くつくる。 だから、男性が金を出し、女性を養う(男性は女性を扶養しなければならない)。男女 の役割や機能が異なるのであって、それは男女の上下や優劣ではない。」

2ムスリム女性のファッション
髪を出さない、身体の線がわからないようにする、肌をできるだけ出さないというの が原則だが、地域差も大きい。女子高生のファッションについては、コートの中などは 日本の女子高生とかわらない。ベールやスカーフは多様であり、色・素材・巻き方など に変化を持たせ、ファッションを楽しんでいる。

3結婚
結婚する際、男性は女性に結納金(マハル)を払わなければならず、結婚に必要な現 金・ウェディングドレス・貴金属・香水・式場代・新居などはすべて男性持ちである。 また、イスラーム社会は一夫多妻(妻は4人まで)で知られるが、マハルの負担が大き いので、2人以上の妻がいるのは、全体の1割程度。2人以上の妻がいる場合、いずれ の妻も平等に扱わねばならず、夫の遺産も複数の妻で平等に分配する。そもそも一夫多 妻の仕組みは、社会的弱者を作らないためのものである。

4イスラームの教え
女性は慎み深く、美しいところ(髪など)は夫のみに見せるので、外ではヴェールで 髪をおおう。また、女性は外ではスッピン、家ではドレスを着て化粧をする。イスラー ム女性のヴェールは抑圧の象徴で、ミニスカートや肌の露出は自由の象徴というのは、 欧米や日本の価値観であり、自文化中心主義の現れ。イスラーム社会では、神が男女を 別につくったから、男女平等・同権でなくてよいという考え方。イスラーム文化など、 外の文化を見ることで、比較が可能となり、比較は共通性を見いだすことにもつながる。

最後に生徒たちの感想をあげます。

「今までの考えと全く違うお話を聞き、とても驚きました。日本の女性も同じレベル なのですね。比較してみても同じところがたくさんあっておもしろかったです。男女平 等が日本では重視されているように感じますが、イスラームのような制度もありだと思 いました。」

「もともとイスラームの国は男女格差の激しい地域という印象があったが、むしろ女 性が日本よりも生き生きとして、大切にされているのだなと感じました。世界史の授  業が現在イスラームの範囲なので、少し先入観のようなものを取り除いて授業を受けら れそうです。

「イスラーム女性は抑圧されていると思っていた。全然イメージと違っていて、女性 はすごく幸せだなと感じた。違う視点からイスラームの女性について知ることができて、 異文化を見る目は大切だなと感じられた。」

生徒たちも、イスラーム社会や異文化に対する眼差しが変わったようです。貴重なお話をありがとうございました。

 

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