2010/12/21 火曜日

②教科イチオシ見学会【カナダ大使館】

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 1:47:49

イチオシ見学会続きです。担当の小池からの報告です。

1年生19名で、青山にあるカナダ大使館を見学させていただきました。

大使館に入り、ガイドの方に挨拶を済ますと、ガイドの方が生徒に対してこんな質問をされました。「カナダについて、事前学習をしてみて初めて知ったことは何ですか」

生徒は初めて来る場所、初対面の方に緊張していたようで、もじもじしていました。それを見てガイドの方は、「日本の学生さんは、海外の学生さんと比べて意見を積極的に言わないと言われています。カナダでは、意見を言わない、反応をしないのは、その人に対して興味がないこととみなされてしまいます」とおっしゃいました。

さらに、大使館内は治外法権でカナダにいるのと同じなので、ぜひどんなことでもいいので積極的に手を挙げてほしい、と言われると、生徒がどんどん発言するようになりました。以前読んだ赤毛のアンの舞台であること、公用語が英語だけでないこと、mapleのつづり(!)・・・1年生らしく素朴でほほえましい発言もあり、緊張もほぐれたようで、好奇心旺盛な本来の表情を取り戻しました。

初めに、入り口にあるカナダの紋章について説明していただきました。紋章はカナダの成り立ちの歴史を表しており、建国に関わったフランス・イギリス・アイルランド・スコットランドの4つの国の紋章が描かれているそうです。また、紋章の下部にはラテン語の文が書かれていますが、英語にすると”from sea to sea”「海から海へ」ということだそうです。カナダは大西洋と太平洋に挟まれていますが、現在のカナダ国旗の両サイドの赤い部分、それが海を表現しているそうです。

実は大使館の建築も、そういったカナダの地理を表現しているそうです。大使館の建物の周囲にはカナディアンガーデンという庭園があり、建物を挟む形で、太平洋の穏やかな波と、大西洋の激しい波を表現した彫刻がありました。とても芸術的な庭園で、途中、池の上の飛び石があったのですが、生徒たちはどきどきしつつ渡っていました。

当日、気温は低かったのですがとてもよく晴れていたので、気持ちよく庭園を見学できました。ジャパニーズガーデンも見せていただき、生徒は「枯山水」という言葉をしっかり覚えたようです。

建物の中に戻ると、次は地下にある図書館にお邪魔しました。その日の夜に某歌手の方のコンサートが大使館で行われるということで、移動中の通路にはたくさんの機材が並べられていました。生徒たちは細心の注意を払って歩き、無事に図書館に到着しました。

カナダ関連の蔵書数は日本一を誇り、英語、フランス語、日本語で書かれた書籍がずらりと並んでいます。生徒も普段こんなにたくさんの洋書を目の当たりにすることはないので、圧倒されているようでした。

この図書館は、正式には「E・H・ノーマン図書館」という名称が付いています。ノーマン氏は第二次世界大戦後、カナダからGHQに出向し、占領下の日本の民主化や、憲法の作成にも深く携わっていたそうです。

図書館では、ガイドの方が生徒からの質問に答えてくださいました。「カナダ人に喜ばれる日本食は?」「公用語が英語の州とフランス語の州の境界では、標識はどうなっている?」「カナダのクリスマスやお正月はどんなもの?」さまざまな質問が出ましたが、答えてくださったなかで共通しているのは、カナダが多民族・他文化の国家であるということです。いろいろな民族が、それぞれの文化を大切にしながら生活をしていることがとても印象的でした。ちなみに日本食は、ヘルシーさからカナダ人全般的に好評だそうです。

また、「大使館で働いていて嬉しかったことは?」というガイドの方に対する質問もありました。ガイドの方は広報担当の方で、他にも図書館の管理・運営や大使館でのイベントの運営をされており、非常にやりがいを感じていらっしゃるそうです。逆に生徒に対し、将来英語を使った職業につきたいかどうか聞かれ、何人かが挙手して「ディズニーリゾートで働きたい」「翻訳の仕事をしたい」「海外でデザイナーになりたい」と言うと、次のようなお話をされました。

「英語はあくまでも、自分のやりたいことを実現するための手段であって、小さなことでも、まず興味をもつことが勉強するきっかけになります。英語を勉強するのは、外の世界を知るための第一歩なのです」

生徒はとても真剣に聞き入っていました。大使館でご活躍されているガイドの方のお話には、やはり説得力があります。多くの生徒のモチベーションupにつながったことでしょう。

今回、カナダ大使館を見学させていただき、生徒たちにとっても非常に有意義で貴重な体験になりました。生徒たちには、今回学んだことを自分の視野を広げるきっかけとして、ぜひ役立ててほしいと思います。