早稲田大学出張授業 4年生対象 ③
先日、教育学部の先生から「学科によっては教員免許を取らない学生の方が多い」と聞き、意外でした。通っていた私が驚くくらいですから、高校生がイメージで学部をとらえがちなのは無理もありません。
今回の授業では、専門分野の模擬授業に加え、学部学科の紹介もしていただいています。今は、各大学、学部の再編が進み、名前だけでは何を学ぶ学科なのか分かりにくくなっていますので、進路を考える時期の生徒にとっては大いに参考になっていると思います。
では、三講座目を担当の春日からご紹介します。
早稲田大学教育学部前田崇先生の教育社会学についての授業を受けさせていただきました。
はじめに、「教育学」とはどういう学問なのかという概略と、その中でも「教育社会学」が、実際の教育問題、教育現象を研究する学問であることを教えていただきました。
生徒は「教育学部」というと、まずは「先生になるための学部」というイメージを持っていると思いますが、そうではない学問分野を教えていただいたことは、新たな視野が広がるきっかけになったのではないかと思います。
その後、昨今「少年による凶悪犯罪が増加した」と叫ばれていることが、本当にそうなのかという問題を、実際の凶悪犯罪の検挙件数を調査したデータなどを見せていただきながら、必ずしも事実はそうではないことを教えていただきました。
緻密なデータによるご説明により、学問が丁寧な調査とその整理、そこからの考察によって成り立っているということを理解し、生徒も刺激を受けたのではないでしょうか。
最後に、現在、社会的に「少年による凶悪犯罪が増加した」という考えが一般的になっていることの背景のひとつに、マスメディアが少年犯罪を積極的に扱うようになったということが関わっているため、情報に流されず、現実を冷静に分析し、それを元に教育政策の妥当性を検討していくことが教育社会学の役割であるということをお聞きしました。
それは教育社会学の枠を越えて、生徒自身が今後社会をどのように捉え、考えていくかの手がかりにもなったはずであり、事実、授業が終わってから、「おもしろかった」「もっと聞きたかった」という声があちらこちらから聞こえてきました。
生徒自身も「少年」に該当する年代であり、そこで起こっている事象を「教育社会学」という新たな角度からお聞きできたことは、生徒にとってかなり印象深い時間になったことと思います。
以下は生徒の感想の一部です。
■ 教育学は教員養成だけだと思っていたので、とてもおどろきました。私自身も少年犯罪や教育政策について、普段から色々なことを感じていたので、教育社会学の研究内容はとても興味深いものでした。将来、教育学部に入って、もっと詳しく教育の根本から勉強したいです。
■ 自分が事実だと思っていたことが、本当ではないことがあるということを知り、驚きました。事実をきちんと調べ、考察することで、知らなかったことが見えてくるということはおもしろそうだなと思います。