2014/7/1 火曜日

男女別学シンポジウム

カテゴリー: お知らせ,その他,保護者 — 漆 @ 18:34:00

昨夜は本校を会場に男女別学シンポジウムが行われました。私も登壇しましたが、女子校、男子校、校舎の同じ別学、校舎も別の別学、高等部で共学になる別学など、様々な形の別学の教育が語られました。

 

 

会場には北海道、長崎、大阪など遠隔地からいらした参加者もいらして、みなさん熱心に耳を傾けていました。 終わりが9時近くなりましたが、本校の教員、保護者、そして、先日教育実習を終えたばかりの卒業生の顔も交じっていました。(教職を志す者として、様々な学校の話を聞くチャンスと思って参加したそうです。)

 

さて、別学の教育効果について、学習に関しては、これまでも、東大合格者の8割が別学出身など様々な数字が示されてきましたが、学校生活は勉強だけではありません。行事や部活、キャリア教育、様々な場面で男女の違いに合わせた指導を行うことが思春期の教育上効果的という事例が示されました。

中井先生の基調講演では、主に小学生の年令の男女の違いが様々な角度から語られました。1万人のデーターに基づくアンケート結果なども発表されていました。また、特定の学習障がいの発生率が男女で数倍異なること、学校で起きる傷害事件の加害者のほとんどが男子、その9割が共学で発生していることなどショッキングな数字も示されました。

男は男らしく、女は女らしくという刷り込みが子供の能力の伸長を阻むこともある一方、男女の生物学的な違いを認識し、成長に合わせたフォローをすることの必要性も感じました。

印象に残ったのは、元男子校から別学へ、元女子校から別学に組織変更した学校の体験談。時に冗談を交えてユーモラスに、失敗や学びがオープンに語られました。

・別学にしたら女子の提出物忘れが減った。

・女子の指導方法が男子と違うことを認識できず、女子を受け入れた初年度は失敗してしまった。女子はコツコツ勉強するので、課題を小分けにしてスモールステップで達成感を与えた方がいい。男子は全体的なことや大まかな流れを説明してから細かいことを伝えた方がよく、女子は、初めから一つ一つ疑問のないように積み重ねた方がいい。

・男子と女子の進路指導は違う。男子と女子が高3の後半の時点で志望校に全く届いていない場合、女子は不安になって推薦に逃げてしまう子がめだち、男子は根拠のない自信で追い込みをかけ、結果、志望校に合格するケースが多い。

・中等部から男女別クラスで高3だけ共学クラスにしたら、女子から「男子がうるさい」男子からは「女子の質問が細かい」両方から「勉強に集中したいのでクラスを別にしてほしい」と苦情がきた。

・男子と女子では将来に対する意識が違うので、同じ学校内でもキャリア教育は女子部と男子部でスタート時期を分けて男子の方を数年遅く始めている。

・理科の実験で摩擦で火興しをしたとき、男子はおおざっぱにやって失敗する班が多かったのに、女子は工夫して協力し、すべての班が成功してしまった。一方、男子は好きなことが見つかると徹底的にのめり込み、突き詰めてやりとげる。

・個別に追加のプリントを渡すとき、女子はコミュニケーションを大切にするので、「○○さんの物理」と書くとプリントを大切にしてくれ、学習モチベーションが上がるが、男子にはほとんど意に介さない。

・体育祭の対戦方法も、男子は勝敗にこだわるので縦割りやクラス対抗、女子はチームの団結を大切にするので学年対抗の学校が目立つ。(男子は上下関係、女子は横の関係を重視する傾向がある)

私は自分自身は、共学出身、勤務した学校はすべて別学で、どちらの良さも実感していますが、こうして別学、共学の両方で教鞭をとられた先生方のお話を伺い、中高生の男女の成長カーブ、効果的な指導方法が大きく異なることを再認識しました。

これからの日本はこれまで経験したことのないほど女性が社会に出て活躍する時代になります。その幸運と責任を担う生徒達の世代には特別なキャリア教育、ライフデザイン教育が必要です。

「28プロジェクト」として、今後も未来社会から逆算した教育を進めていきます。

*女性の活躍を支援する番組に本校及び情報科主任の酒井が取材されました。放送予定をお知らせします。

BS-JAPAN『Wの力 ~ウーマノミクス~ 』7月3日(木)23:24~(30分番組です)