2013/2/20 水曜日

⑬教科イチ押し見学会(横浜弁護士会)・世界らん展

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,クラブ — 漆 @ 16:24:55

フラワーアレンジメント部が今年も予選に合格し「世界らん展 日本大賞2013」に出展することができました。3年連続出展です。24日まで東京ドームに展示しています。

5年・ミニチュアディスプレイ部門
4年・ミニチュアディスプレイ部門
3年・テーブルアレンジ部門

教科イチ押しのつづきです。引率の窪田からの報告です。

横浜弁護士会を訪問し、女性の弁護士の方にお話をしていただきました。

温かく、気さくな雰囲気で出迎えてくださった田原(たばる)恵先生から、最初は簡単にプロフィールや現在の仕事内容についてお話しがあり、その後質疑応答を懇談形式で進めてくださいました。
まず、その経歴に驚きました。
弁護士の方は、大学は法学部を卒業するのかと想像します。「何学部でしょうか?」生徒が順に指名され、「法学部」「政治学部」「でないなら、経済学部?」「文学部?」など。。。最後に正解がなんと「理工学部」!

東京の某大学の理工学部を卒業してすぐにご結婚され、最初は医療事務の仕事をされていたそうです。しかし出産・育児で休暇を取る際に法律を自ら調べ、そこで法律を知ることの必要性を痛感して、この際徹底的に勉強しようと決意されたということです。
そしてご出産後にロースクール(法科大学院)に入るための勉強を3年間した後、入学して4年間勉強し、司法試験に挑戦して2回目で合格されたそうです。

次に、弁護士のお仕事について、簡単に説明してくださいました。
弁護士というと、普段からずっと裁判に携わっているというイメージがあるのですが、裁判に持ち込まないようにその手前で努力をするので、実際裁判にかかわることは、仕事全体の2割程度ということです。ご自身では一度に25件くらいの件数を担当していて、それでも他の弁護士と比べると少ない方だそうです。(ご家庭をお持ちなので、ある程度セーブされているとのこと)
25件のうちの1件でも、当事者にとってはそれがすべてなので、一人一人に誠意を持って対応していらっしゃるそうです。ときには夜遅くに接見や相談が入る場合もあるとのことです。一つ一つについて、寝る直前まで考え続けるため、精神的に厳しいので、切り替えが上手にできることもこの職業には必要なことなのです。

以下、質疑応答の内容を抜粋します。

Q:弁護士をされていて、よかったことは何ですか?
A:依頼者に「ありがとうございました」と言われたときです。最善の結果に持っていけなかったときでも、誠意を持って対応し、その結果に納得してもらえたときです。また刑事事件で実刑判決が出たときでも、「もうやりません」とか、「先生に担当してもらえてよかった」と言われたときは嬉しいです。ただし、その人がまた逮捕されて会うことがあり、そんなときは残念で悲しいです。

Q:弁護士として必要な能力は何ですか?
A:まずは好奇心です。いろいろなことに興味がないと、つらいし、対応がしづらいです。たとえば、「貸したお金を返してもらえない」というときに、「なぜ借用証書を書いてもらえなかったのか」というように興味をもって聞き出していくと、問題点が見えてきたりします。
また、人間が相手なので、人嫌いだと辛いでしょう。
それから、法律は日々細かく変更があるので、常に取り入れ続けなければなりません。変化に対するやる気、向上心、情報を得ようという探究心が必要です。記憶力はそこまで必要はありません。
人とのつながりのほうが大事なので、人の顔を覚えることは大切です。(ただし、住所のある町名と事件の内容と、年齢と名前が同じ人が被疑者になった事件を同時に担当したときには混乱したそうです!)

Q:どのくらい細かい法律を覚えていますか?
A:司法試験のときはかなり覚えていましたが、今は主なもの以外は全文は記憶していません。
細かい法律は細かいところまでは覚えていなくても、理解した自信のあるものは、確認すれば対応できます。無理に覚えたことはそのまま消えて二度と出てこないけれど、理解したものは忘れても大丈夫。これは他の場面でも同様です。

Q:男女比率はどのくらいですか?
A:断然男性が多いです。役員の比率も、女性が2割くらいです。女性として働きにくいと感じることもあります。実際家庭があると物理的に難しいことも出てきますが、あきらめずにやりたいことはすべてやるべきです。

Q:絶対にこの人は悪い、という人にはどのように対応しますか?
A:悪いかどうかは裁判官が判断するので、弁護士から言うことはできませんが、自分がしたことに対して罪の意識がない人には、まず反省を促します。また、犯罪を犯す人は自己中心的な人が多いので、相手の立場に立てるように話していきます。

このように、たくさんの質問に対して丁寧にわかりやすく、そして楽しく話してくださいました。一同話に引き込まれ、とても短い2時間を過ごしました。弁護士という仕事が身近に感じられるのと同時に、その仕事の魅力と、何より田原先生ご本人の人間的魅力が伝わってきました。回り道をしながら本当の自分の目標を見つけ、自分の境遇を苦にせずに前向きに努力する姿、そして他人のために誠意を持って取り組む姿、またご家庭、そしてお子さんにもつ愛情の大きさを含めて、女性として仕事をする上での将来の参考になったことと思います。
お忙しい中、貴重な時間を割いてくださり、ありがとうございました。

*写真には、弁護士バッジがあります。全員にまわして見せてくださいました。
普段は身につけない主義なので、きれいに保管してあるそうです。