2012/10/24 水曜日

○○ちゃんの方が大事なの?

カテゴリー: その他,保護者,受験生,校長のオススメ — 漆 @ 12:59:37

今日は自宅学習日です。生徒はテストの振り返り課題をやっているころでしょう。

一昨日の、「自分ばっかり叱られる」を書いていて、自分の子どもの頃を思い出しました。

三人きょうだいの一番上だったので、よく親から「お姉ちゃんなのに」と弟と同じことをしても叱られました。(ここらへんが子どもは自分が小さい頃の記憶がないので納得できないところです。)

一方、壁にいたずら書きをして、弟のせいにしたら「字が書いてあるからあなたでしょ。弟はまだ書けないんだから」と母に叱られたこともありました。

「私と弟が違うことを言ったら弟の方を信じる」と父に言われたときはショックでしたが、今思うと、小さな弟にはまだ言い訳をする知恵がなかったからだったんでしょう。

最も「姉はつらいよ」と思ったのはこの学校の運動会のときのこと。

当時は西棟が運動場で、そこでお姉さんたちの競技を見ていた私は途中で飽きて、東棟の事務所で遊んでいました。すると、私を探して弟が一人で道を渡り、車にぶつかってしまったのです。

幸い、怪我はありませんでしたが、動転した父から「おまえが勝手に移動するからついて行ったんだ。怪我をしてたらおまえのせいだ!」と叱られて、言い返す言葉もありませんでした。

今でこそ、若い親が心配のあまり言ってしまったことと理解できますが、子どもは、そんな事情を察することができません。そして、「私より弟の方が大事なんだ」と思いこむと、その後はその色めがねで出来事をみるので、どんどん誤解が積み重なってしまうことがあります。

私もそれでずいぶん親の見ていないところで弟に当たったものです。(大人になってからは弟たちに世話になる一方の姉なので、心の広い身内でよかったです)

これは小さい子の話ですが、中高生でも、兄弟姉妹と比較されて傷ついたり、愛情の差を感じて悩んだり、ということはしばしば目にします。

特に受験などの大事な時期は家族の注目がその子に集まりがちです。それが理解できない年齢のきょうだいが、自分がかわいがられていないように感じてしまうということも起こります。「お姉ちゃんは受験だから、我慢しようね」が通用しない年齢もあるのです。

おやごさんもいっぱいいっぱいだと思うのですが、おじいちゃんおばあちゃんの手も借りて役割分担するとか(私にとっては祖父が両親の愛情の通訳でした)、意識的に下の子と過ごす時間を作るとか、ケアしておいた方が後々のためでもあります。

これは、他校の校長先生に聞いた話です。

その方のお父様は著名な教育者で、家でも厳格な方だったそうです。なんとなく距離を感じて過ごしていたころ、兄たちが学校の旅行か何かで不在のとき、自分だけを旅行に連れて行ってくれたそうです。

そのとき、焼き肉屋で初めて父親が「自分のためだけに」焼いてくれた肉の味に、父の言葉にできない愛情を感じ、「60歳を過ぎた今でも忘れられない味」とおっしゃっていました。

旅行とまではいかなくても、近所のコンビニに二人でアイスを買いに行く、その5分間だけでも親を独り占めできる時間は子どもにとってかけがえのないものになるかもしれません。