2012/8/24 金曜日

⑬大学出張授業(東京農業大学・農学)

カテゴリー: クラブ,授業・学習・進学 — 漆 @ 15:49:55

ダンス部が、さんぽう・日本工学院主催「高校生ダンスコンテスト’12夏」にて、特別賞を受賞しました。 予選を含めると60チームのエントリーの中から6チームのみの入賞だそうです。

大学出張授業、担当の住谷から報告です。

東京農業大学農学部農学科の本橋強先生に、「品種改良今昔物語」というタイトルで授業をしていただき、理系もしくは理系志望の生徒21名が受講しました。

最初に、「品種改良」という言葉について説明があり、品種改良というものは既存の性質を変えていく時に用いる言葉であり、新たな性質を作っていく際には「育種」という言葉を用いるというお話がありました。先生は主に「育種」に力を注がれているとのこと。
では、特に農産物については、何のために「改良」する必要があるのか?という質問がありました。

利用する人の立場によって、ニーズは様々です。生産者は「栽培しやすく、病気に強い」農作物を欲し、流通業者は「痛みにくく、形や大きさがそろっている」農作物を欲します。さらに、販売業者は「日持ちがよく、見た目がよい」農作物を欲しますし、加工業者は「加工しやすく、歩留まりのよい(水分などより実の部分が多い)」農作物を欲します。そして消費者は「おいしく、安い」農作物を欲する、というわけです。そういった多様なニーズに応えていくために日々研究が行われているのです。
そして、その研究には膨大な費用と日数がかかるのです。例えば、数年前に遺伝子組み換えによってできた青いバラ。これは、交配ではバラから青い色素は生まれないために、パンジーの遺伝子を組み入れてできたそうなのですが、できあがるまでに20年もの月日と、30億円もの費用がかかったとのこと。また、今ではスーパーでよく見られるようになった「桃太郎トマト」も、1年で1世代ずつしか交配できないため、10数年を有してできあがったとのこと。
こういう育種を行う仕事として、「育種家」という存在がいるそうなのですが、できあがった後農家に種を分けてしまうと育種家には何も残らなくなってしまう、
ということで、近年育種家の知的財産権の保証が推進され、農家は使用料を払って15年有効の使用する権利を得て栽培するのだとか。
先生は、現在は稲と花の研究をされているそうです。特に稲に関しては、世界の人口増加に伴い食糧生産が追いつかなくなっている中、塩に強い稲を作りたい、というお話がありました。また、花については、今度は黄色いバラを作りたい、とのこと。
途中、生物で学習した遺伝子の優性劣性の話を交えながら、現在の農作物事情に至るまで非常に興味深いお話を聞くことができました。生徒たちもバイオテクノロジーの奥深さに気づいてくれたのではないでしょうか。本橋先生、ありがとうございました。