⑤大学出張授業(東京女子大学・外国語学)
担当の黒沢からの報告です。
7月17日に4,5年生対象に行われた大学出張授業(外国語学の模擬授業)のレポートです。
東京女子大学のJean-Pierre Richard(ジャンピエール リシャール)先生がCommunication, Culture andLanguage Learningをテーマに講義をして下さいました。
先生はカナダのご出身で、今日の授業は全て英語で行われました。先生のご専門は英語教育や応用言語学で、本日は、異文化(カナダの文化)についてと、英語でコミュニケーションする際の難しさや、日本人英語学習者の到達レベルが異なる理由は何か、といった問題についてクイズやペアワークを交えながら楽しくご講義くださいました。
まずは、先生の自己紹介も兼ねて、生徒たちに英語で質問を考えてもらい先生に質問をするところから始まりました:
What’s your name? ←先生は最初にお名前をご紹介されたし、レジュメにもお名前が載っているのに他に質問ができなかったのでしょうか。。。
How old are you?←男性の先生でしたので、まあ、許されるでしょうか。
Do you like sushi? →大好きだそうです。
When did you come to Japan? →16年前にいらしたそうです。そして英語のマジックワードを2つご紹介してくださいました:
・Tell me more.
・How about you?英語で会話する際に、Tell me
more(もっと話して)と言えば、相手が続けていろいろ話してくれるし、自分が質問に答える側であれば、最後に、How about
you?(あなたは?)と言えば、そこから相手がどんどん話をしてくれるため、会話がつながる、というわけです。さっそくペアワークで週末や夏休みについてこの2つのマジックワードを使って会話の練習をしました。今日のペアワークは4年生と5年生のペアもあり、少々緊張気味に照れながら英語で会話をしていました。英語学習の難しさの1つはリスニングで、リスニングを難しくさせているのは実際の表記とは異なる”reducedforms”(「省かれた形」)にある、とのことです。例えば:
A) Djeejet?
B)No. Dju?
A) No. Skoeet?
B) K.
何かの暗号のように見える、上の会話は英語での会話で実際には何と言っているのかというと:
A) Did you eat yet? (お昼食べた?)
B)No, did you? (いいや、君は?)
A) No, let’s go eat? (まだ。食べに行こうか?)
B) OK. (そうしよう)
我々がDo youと思っている実際の音はDj(「ジュ」)で、Let’s goは Sko(「ッスコー」)であり、OkはK(「ッケー」)となります。
この後、簡単なリスニングクイズを行い、実際に聞こえる会話の音と、英語文とのギャップについて考えました。なるほど、確かに、私自身英語教員として、リスニング力をあげるには、まずは実際の発音と表記どおりの発音との違いを認識することだと日頃考えておりますが、今日の先生の講義は説得力があり、生徒たちにもリスニング練習のよいヒントとなったと思います。このように、英語学習の難しさに触れたあと、それぞれの学習者の違い(individual differences)について考えました。
先生の研究テーマは、日本人英語学習者(中高生)の英語到達レベルの違いの原因ということで、先生もかなり熱心にお話しくださいました。
学習者の個々の差というものは以下の要素によって現れるそうです:
1. anxiety (心配、不安)―ex) 人前で話すことに緊張してしまう。恥ずかしい・・・
2. aptitude (適正)―ex) 母国語は何?
3. beliefs (信念)
4. creativity (創造性)
5. goal orientation (目標指向性) ―ex) 英語学習の目的は?仕事のため?友達つくりのため?
6. hope (希望)
7. motivation (動機)
8. personality (人格)―内向的?外交的?
9. self-esteem (自己尊重)
10. self-regulation (自己調節)
11. strategies(戦略)
12. styles(様式)
13. WTC(Willngness to Communicate:コミュニケーションに対する意欲)ここらへんは少し生徒たちには難しい内容でしたが、それでもJean-Pierre先生が様々な例をだしわかりやすくかいつまんでお話しくださり、実際に生徒たちと一緒にどういう生徒が英語学習に向いているかについて話をして本日の講義は終了いたしました。先生のおっしゃることには、「どの英語学習の成功する要素は学習者によって様々であり、その人にあった学習法や学習環境を整えることが大事」ということでした。
高等部はネイティブの先生による英語の授業はないので、今日はナチュラルスピードの英語による授業で、生徒たちにとっても大変新鮮で貴重な機会になったと思います。