2008/2/9 土曜日

教科イチオシ見学会 -25- 弁護士会館

カテゴリー: 28プロジェクト:社会 — 漆 @ 14:31:46

担当の国語科 重田より報告です。

弁護士会館を訪問して629.jpg

事前説明会の折りのこと、集まった生徒達に「この中で、法学部への進学を希望している人!」と声をかけたところ、何故かほとんど手が挙がらなかった。よくよく聞いてみれば、「行列○○を見ておもしろいと思ったから」「離婚弁護士かっこいいよね」なんて声が聞こえてきた。TVの影響力、恐るべし・・・というわけで、法学部進学者を当て込んで用意した資料は、中に浮いてしまった。

さて、当日。
寒風吹きすさぶ弁護士会館前で集合したものの、地下鉄の出口で右往左往する生徒が続出し、生徒集合がほぼ完了したのは開始直前で、冷や汗ものだった。

弁護士会館は、社会科見学等の子供達も頻繁に訪れるらしく、受付の方は慣れた様子でにこやかに対応してくださり、若手女性弁護士の先生も優しく迎えてくださって、和やかな雰囲気のうちに講演は始まった。

講演内容を以下に簡単にまとめておく。

○弁護士仕事とは
 弁護士でも、六法全書をすべて暗記しているわけではない。実は、判断の基準になる基本法を覚えているだけ。弁護士は、法を覚えているのではなく、法の使い方が分かっている人間。その事柄に関連する法律は、どのあたりに書かれているのかがわかっているから 仕事ができるということである。

○女性弁護師の実情
 現在、女性弁護士はかなり多くなってきたが、それでもまだ全体の1割程度。しかし頭数は少なくても、溌剌とした元気な人が多く、活躍している。ドメスティックバイオレス被害者や、痴漢被害者などは男性への恐怖から、女性弁護士を希望することが多く、求められる場面は意外に多い。

○弁護士を目指した理由
 大学時代、肉親が事故に遭い、損害賠償問題になったことがあった。その時、「法を知らないと権利を守ることができない」と実感した。また、弁護士が話せば聞いてくれることも、一般の人間である自分が言うと全く聞いてもらえなかった。弁護士は、個人の力量で仕事をこなす。会社ではなく、あくまで個人に任される仕事であることも魅力的に思えた。
以上のような理由から、弁護士を目指すこととなった。 

○裁判傍聴のすすめ
 裁判の傍聴に立ち会うと、人間のいろいろな部分に触れることになる。
 勿論、目を背けたくなるような汚い部分も見せつけられるが、ぎりぎりの状態でも切れることのない親子の絆や愛情を目の当たりにして、感動することもある。是非、積極的に傍聴を。

大まかではあるが、以上のような内容のお話を伺って、生徒達は等身大の弁護士像をイメージできたようだった。芸能界にあこがれるような気持ちで法曹界を夢見るのではなく、現実の未来像として思い描くことができたのではないだろうか。