小笠原流礼法の授業
中1が道徳の授業の中で小笠原流礼法を学んでいます。この日は和食の作法を学びました。
授業の開始に作法室へ小走りに入ってくる生徒がいました。ご挨拶のあと、先生から
「和室は床の間のある神聖な場所。白いソックスに履き替えてもらっているのもそのため。本来ならば入室の時は扇子で挨拶をするべきところ、それを省略しているのだから、せめて走らないで静かに入室してほしい。」とご注意がありました。
ではどうするかというと、歩くときは、足の裏を見せず畳と平行に動かす。かといって畳を擦ってはいけないので、畳と足の間に紙を一枚はさんだつもりで歩く。埃が立たないように、手もスカートの前につけて振らないようにするそうです。(お能の動きに似た印象です)
食事の作法の前に、紙で鶴の形の箸置きを折りました。これがとてもかわいらしく、素敵です。覚えておくと便利なので私も一緒に折ってみました。
さて、いよいよ作法に入ります。作法と同時に、その背景にどんな配慮があるのかを必ず教えてくださいます。生徒達はこくりこくりと頷いています。
◆割り箸は横でなく、天地で割る。これは人にあたらない配慮。
◆器は両手で持つ。大切に扱い、傷付けない配慮。(そのための箸使いも学びました)
◆蓋物の汁の切り方、汁をこぼさない配慮。
◆はじめは汁のみをいただく。汁は心を込めてお出しをとっているので、まずはそれだけを味わうという配慮。
最後に、お辞儀、歩き方、立ち方座り方を復習しました。初回に見たときとは見違えるようになっていました。号令もなく、お辞儀の時も同じタイミングでゆっくりと顔があがってきます。お辞儀のあとに心を残すことが大切ですと繰り返し教えていただきましたが、何回かのお稽古で少しずつ身に付いてきたようです。
担任のブログに紹介されていた講師の先生のお言葉からも配慮の大切さが伝わってきます。ご紹介しますね。
(机があって上手くお辞儀が出来ない時に)
「やれない状況にあってもやろうとする心が伝わって来て、大変嬉しいです。」
(かけ声なしにみんなでお辞儀をした時に)
「みんなで心を合わせるために空気を読むということが大切です。」
まだまだ視野が狭く、電車内などでも回りへの配慮を欠いてしまうことの多い年頃ですが、こうした経験の積み重ねで、「空気を読む」心遣いのできる人に育ってくれることを願っています。
教わる前にかなりのことができていて、こちらが感心するような子がいる一方、お箸の使い方もままならない子もいます。私も初めて聞くことが多く、人のことは言えないのですが、だからこそ、生徒達には、大人になって「今さら聞けない、人も言ってくれない」と恥ずかしい思いをさせたくありません。
こうして学んだことがしっかり身に付くよう、ご家庭でも話題に出していただき、日常生活の中で繰り返し行っていただければと思います。