2013/9/3 火曜日

頼む力

カテゴリー: 28プロジェクト:世界 — 漆 @ 15:16:44

6月に参加した世界経済フォーラム東アジア会議(ミャンマー)での体験です。

参加を決めたのは生徒の未来への想いからでした。

今も、世界のどこかで常に争いごとが起きています。さらに今後、資源が枯渇していく地球環境の中で、今後、他人を思いやる共感力、公共心の高い日本人が世界に貢献していくことが望まれます。

一方、省庁の委員などを務めていると、日本は行政の縦割りが強すぎて、教育制度改革がなかなか進まないことに焦りを感じます。

生徒達には将来、使命感を持って世界に貢献する人になってほしい。そのためには、私自身が、最新の世界の状況を肌で感じて生徒にフィードバックしなくてはと思ったのです。

運良く、知人の紹介で、参加させもらえることになったまではよかったのですが、この会議は世界の政財界のリーダーが集まる場所で、教育関係者は、世界ランキング30位以内の大学の学長(日本では東大が27位)か、専門性の高い研究者中心で、中等教育の現場から参加している人はいません。しかも、会議はすべて英語(当たり前ですが)。

どのセッションに参加するか、プライベートのミーティングはどうするか、そもそも、ミャンマーまでどうやっていくの?と、どんどん不安なことが増えて来ました。(考える前に行動すると、こういう苦境に立たされるんです)

そのうち、立場も語学力も場違いな人間が一人交じってどう思われるんだろう?と、どんどん緊張してきて、具合が悪くなってきました。

そんな私を見て、友人がこんな質問をしてくれました。

「もし、あなたが周りの人だったらあなたはどう見える?」

そのとき、180度、視点が変わりました。そして、

「よく来たな、えらいなって思ってサポートしてあげると思う」と答えている自分がいました。

そうだ、そこは世界のリーダーが集まる場所。頑張っている人を馬鹿にしたりする人はいない。恥は捨てよう。分からないことは聞き、困ったときは頼めばいい。

そこで、気を取り直し、まずは、参加メンバーの名簿を見て、日本人の参加者を確認し、知り合いに助けてほしいとメールしまくりました。すると、

「ミャンマーまで一緒に行こう」「ホテルは同じところを取ったよ」「困ったら通訳するよ」「現地で一緒にセッションを選ぼう」「私が会う教育関係者を紹介してあげる」・・・次々と返信が来ました。

不思議なことに心を決めると運がやってきます。その週に出かけた会合で、この会議に参加した人、理事を務めている人、数人と出会い、様々なアドバイスをもらえました。

「ジェンダーギャップレポートで日本の女性の活躍は世界101位、(アゼルバイジャン→マレーシア→日本→ベリーズ→カンボジア)この問題について、中等教育の立場から話すといい」

「世界の共通語はブロークンイングリッシュ。チームに貢献する人は自分の弱点も伝えられる人。成功の反対は何もやらないこと。だから、大丈夫」等々。

さらに、出発数日前に、数年ぶりに会った知人から紹介された人がたまたま翻訳業をやっていて、私が日本語で書いた文章を一日ですべて英語にしてくれました。それをリチャード先生が直してくれて、やりとりが自然にできるようレッスンまでしてくれたのです。(それが出発当日でした。)

その後も、空港で数年ぶりにあった知人が政府の代表として同じ場所に行くことが分かったりと、幸運が重なり、周りの人たちに助けられて、様々な国の人々とネットワークを広げることができました。

世界の中で女性は活躍しています。スーチーさんを始め、インテル、ペプシコ経営陣の女性も来ていました。ニュージーランド元首相のヘレン・クラークとも話すことができました。

この頃には、本当に度胸がついて、「ハ~イ!アイムフロムジャパン!」と話しかけ、とりあえず握手。「日本に来たら学校に来て日本の女子中高生にお話してくださいね」とお願いし、その後、実際に学校を訪ねてくださった方もいました。

この経験から生徒達に伝えたことは、ここまでお話ししてきた「頼む力」(これにはもう少し続きがありますので後日)と、以下の三つです。

1,準備してからでは遅い。チャンスが逃げてしまう。やると決めると助けてもらえる。

2,自分を深めておく(専門分野を持てば相手は興味を持ってくれる。自国のアイデンティティーや語れる中身がないと英語ができても尊敬されない。一人、着物を着てきた男性がいて、注目の的でした。)

3,とはいえ、英語はやっておく。(通訳でしのげるのはオフィシャルな場だけ。交渉はインフォーマルな場所でのコミュニケーションの上に成り立つもの。オリンピックの招致活動を見ていれば分かります。)

世界経済フォーラムでファシリテーターを務められることの多い、慶応大学の石倉洋子先生の勉強会があります。今回のテーマは “What actions would YOU take to change Japan for better?” 「日本をよりよくするためにあなたは今何をしますか?」です。英語のディスカッションですが、少しでも興味のある生徒、卒業生は勇気を持って参加してみましょう。やるのは今です。準備をしてからでは遅いのです。前回の様子はユーチューブで見られます。

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