2011/10/31 月曜日

早稲田大学連携授業(教育学部)

カテゴリー: その他,保護者,早稲田大学 — 漆 @ 15:00:57

定期テストが終わり、今日は6年生以外の学年は模擬試験を行なっています。

テスト中、いつにまして注意が散漫になっていたのでしょう。北品川駅での電車の乗り降りの際、降りるお客様より先に乗ってくる生徒がいたと苦情のお電話をいただきました。

ふと、保育園のころ、母に手を引かれ電車に乗るとき、「降りる人が先よ」と言われている幼い自分の映像が浮かびました。

学校では繰り返し繰り返し、指導をしていきますが、食事のマナー、交通マナーなどの基本的生活習慣は、ご家庭でも根気よくご指導ください。

早稲田大学連携授業の続きです。この授業は4年生、5年生のそれぞれの学年で週をずらして行なっています。

担当黒沢からの報告です

講座名「なぜムンクは叫ぶのか」に対する地理学からの回答
先生 山本隆太先生
学科名 地理

早稲田大学連携授業の講義レポートです。
早稲田大学教育学部の山本隆太先生に、「『なぜムンクは叫ぶのか』に対する地理学からの回答」をテーマに講義をしていただきました。

先生のご専門は「地理学」で、ご自身が高校生の際に、文系・理系の両面を持ち合わせているために悩んだあげく、地理学にたどりついたということでした。
理系と文系がどのように地理学において接触するのか、具体的なフィールドワークに基づいて説明してくださったので、生徒たちにもわかりやすく興味深い講義内容でした。

まず、本日のテーマの回答ですが、「ムンクは叫んでいない」でした。

なぜこのような解釈になるのでしょう?
これについて、先生が実際にノルウェーに赴き行ったフィールドワーク(調査)の様子とともに、フィールドワーク体験→ノルウェーの自然(地形・気候)→ムンクの作品、という流れでお話しいただきました。
まず、ノルウェーという土地について、先生がフィールドワークの際に撮影された実際のお写真と一緒に説明くださいました。
ノルウェー=”north way” 「北への道」ということで、日本の北海道よりも緯度が高く寒い土地であることや、フィヨルドといった独特な地形や、山や谷などの自然の多い土地であることについて触れられました。
先生のご自身のノルウェーに対する感想(「薄暗い」「物価が高い」「人が親切」など)も交えながらのお話で大変わかりやすく、行ったことのない異国の土地に生徒も興味深げに写真のスライドを眺めておりました。
さて、先生がフィールドワーク中にノルウェーの薄暗い道(山道?)を歩いていたときのことです。
突然「きーん」という耳鳴りがして、振り向くと、さきほどまで曇って薄暗かった空が夕焼け空になっていたそうです。
そこで、先生は、ムンクのいう『叫び』の意味がわかったそうです。

文系的な考えであると、ムンクの家庭環境(母を幼いときに亡くしている、ムンク自身生涯“死”の影がつきまとう人生・・・)が彼の暗い作品に表れている、つまり「ムンクは苦しくて叫んだ」という解釈になる、と先生。
しかし、ここで理系的アプローチをとると、違う解釈ができるのだ、と先生。
つまり、フィヨルドという<地形>、耳鳴りがするくらい寒い<気候>を実際に体感してみると、ムンクの『叫び』に代表される多くの暗い作品は、ムンクのノルウェーの「自然体験」があったからこそ出来た作品なのだ、という回答が得られるのだ、ということです。

今回は、ムンクの『叫び』という作品を地理学の観点から考える、という大変興味深い講義で、生徒たちも終始先生のお話に真剣に耳を傾けていました。

また、先生ご自身のフィールドワークを通して、地理学という学問には、「地形・気候」といった科学・理科の要素から「絵画」などの芸術・文学の要素に至るまで幅広く勉強していく学問であるということもわかりました。

以下に、本日の生徒の感想をいくつかあげます。

・私は文系の見方しかしていなかったことに気づけた。地形・気候・環境・時代背景を知らずに作品を見るのと理解した上で見るのとは全く印象が異なるということが体験できた。

・地理学が論理的に考える学問であるということがわかった。1枚の絵でその国の多くのことが学べるのはすごいと思った。

・芸術をその土地に行って体験すると見方が変わるとはおもしろい。芸術と地理学が結びつけられることをはじめて知った。

・土地によって人間の考え方、思考は異なってくる、ということが地理学でわかるということに驚いた。

 

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