2011/10/29 土曜日

早稲田大学連携授業・商学部

カテゴリー: 早稲田大学 — 漆 @ 8:40:55

今日は自宅学習日二日目です。校内では数学検定が実施されています。

早稲田大学連携授業のつづきです。

石田先生は昨年度もお越しくださいました。その際は、新しい食感のガムを例にマーケティングの話をしてくださいました。

先日、6年生と話していたら、商学部を志望しているというので理由を聞いたところ、昨年この授業を受け、マーケティングに興味を持ったのがきっかけになったそうです。

私も聞いていたのですが、「ガム自体のマーケットが縮んでいるので、ガムを食べない人への調査をした結果ヒット商品に」という話が印象に残り、私立学校に例えれば、私学が視野に入っていない方々に、私学の価値を伝えるということなのかなとヒントになりました。

担当の中村からの報告です。

「ヒット商品のマーケティング」
商学部助教 石田大典先生

 「マーケティングとは何か?」
この命題に言及するために、先生が挙げてくださったのは、生徒たちには見慣れたお菓子「KitKat」でした。
古くからある普通のチョコレート菓子。
それが2000年ごろから、受験生のお守り、として広く認識されるようになりました。いったいどのようにして『受験生のお守りとしてのKitKat』を確立していったのか。

「KitKat」はイギリス発祥のお菓子です。
日本では40年ほど前から、おなじみの「Have a break,have a KitKat」のキャッチフレーズとともに、店頭に並んでいました。
そして2000年当時。
 ・低価格での提供を心掛けていた
 ・袋入り
 ・主としてスーパーで販売
 ・認知率100%
 ・チョコレート菓子シェア第二位
一見とても良さそうなこの状況で、当時のネスレは危機感を感じたそうです。
そのポイントは、「これを買ってくれている人たちが、ターゲットとしていた層と違う」こと。
もともとのターゲットは中高生(子ども)であったのに、主に買っているのはスーパーに行く主婦層。
つまり、「子ども」には「親から与えられる」お菓子であって、「自分で買う」お菓子ではない、というのが、ひっかかったのだとか。
数年後大きくなった「子ども」たちが「自分で買おう」と思うかどうか、ということだそうです。

だからこそ「子ども(中高生)」にターゲットを絞ったネスレは、
どうすれば中高生が自ら「KitKat」を買うだろうか、を試行錯誤します。

その中でたどり着いたのが
①九州地方では、なぜか1月2月に売り上げが伸びている。
②なぜ?
③九州の方言「きっと勝つとお」(=Kitkat)
という、言葉遊びのようなジンクスだったそうです。

ネスレはこれに注目し、サンプリングやキャンペーンを展開していきます。
東京のホテルで、宿泊している受験生に「サクラサクKitKat」と書き添えてのプレゼント作戦を実行したり、
JRや私鉄の電車を「サクラKitkat」でラッピングしたり、本郷3丁目駅をラッピングしたり、大学までの道を「サクラロード」にしてみたり。
そのどれもが好評で、特に、ホテルの従業員からは「受験生がこんなに明るい顔で出かけて行ってくれたのは初めてでした、嬉しい」との喜びの声が多かったそうです。
また、「サクラロード」は、ネスレの持ちかけに、地元が乗っかる形で企画運営をしたそうです。

こうして、「KitKat」は『受験生のお守り』としての認識を広げていきました。
で。ここで本題に立ち戻ります。
「マーケティングとは何か?」
この言葉は、実は「マーケット(市場)」+「~ING(創造)」の造語だそうです。
つまり、「市場を創造すること」。この商品が欲しい、と思う人たち(ニーズ)を作ること。
ネスレの「Kitkat」は、『受験生の願掛けお菓子』という市場を作り上げたわけです。

≪ニーズを作るために考えなくてはならないこと≫は、
1、誰の・・・中高生
2、何を・・・ストレスを解放する
3、どうやって・・・テレビCMではなく、口コミで。キャンペーンを繰り返すことで、より真実味のある話題になることを狙った。
だそうです。

加えて、ここで大事なのは、「KitKat」という商品そのものは40年前と何ひとつ変わっていないこと、です。普通、新しい市場を作る際、一番手っ取り早いのは新しい商品を作ること、もしくは商品を作り変えること。でも、「KitKat」は、モノだけでなく、名前すら変えないまま、今までとは違う新しい価値を作り出しました。
これが、「マーケティング」の面白さ、なのだと。そしてその根底にあったのは「KitKatを子どもに好かれるお菓子にしたい」という気持ちなのだと。
石田先生は語ってくださいました。

この授業を受けた4年生は、昨年一年を通して、岩塚製菓とのコラボを経験し、実際に商品開発を自分たち自身で体験しています。
だからこそ余計に、今回の授業はとても納得のいく、そして興味深い、内容だったのではないでしょうか。

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