⑪大学出張授業報告【東京女子大学 人文学科英語文学文化専攻】
担当の山田より報告です。
東京女子大学人文学科英語文学文化専攻 篠目 清美教授
「アメリカ文学を通して考えるジェンダー」近年よく耳にする“ジェンダー”という言葉について、19世紀末から現代に至るアメリカ文学を通して考えてみる、というのが今回の授業でした。
先生が最初に紹介されたのは『若草物語 (“Little Women”)』(Louisa May Alcott著)です。「父親が娘たちに何を求めたのか?」「母親の望む娘たちの幸福とは?」という視点で原文を読むと、当時の女性が求められている役割が分かります。篠目先生の学生時代は「女子必読書だった」とのことですが、授業に参加した生徒で読んだことがあったのは何と1人でした…!この結果に先生は「良い意味で、今はジェンダーレスな時代なのかもしれませんね」と分析なさっていました。
2冊目は“If I Were a Man”。著者は『アンクル・トムの小屋』を書いたストウ夫人の親戚に当たるCharlotte Perkins Gilmanで、主人公が男性に変身したらどうなるのか?をテーマにしています。
3冊目は”The Bell Jar”(Sylvia Plath著)。Alcottの時代から現代への過渡期に当たる時期の作品です。主人公の目の前にたくさんのイチジクの実(=選択肢。例えば、夫と子どもたちに囲まれた幸せな家庭、有名な詩人、有能な雑誌編集者、または輝かしい業績を残した大学教授など)があり、どれを選ぶべきか迷っている場面が紹介され、1960年代の女子大生の「人生における選択の悩み」を知りました。
最後は”Bryn Mawr Commencement Address”。著者はUrsula K. Le Guinで、SFの女王と評され、人気を博した『ゲド戦記』を書いた作家です。また「それは本当に女性/男性がすべきなのか?」と、常日頃から男女差がなかったらどうなのか?と問いかけ考えている作家とのことで、この小説も若い女性たちへのメッセージが書かれている作品になっています。
先生の解説やお話しに引き込まれ、あっという間に時間が過ぎ、また耳慣れているジェンダーという言葉にはこうした歴史的背景があったのだと理解するだけでなく、各作品の解説から深い感銘を受けるなど、それぞれ得るものがあったようです。
~生徒の感想より~
・英語を学ぶといっても、イギリス英語から古典英語まで幅広くあるのに驚きました
・英語の小説を通して社会のことや歴史や英語を同時に学べるのは魅力的だと思いました。また小説を通すことで、たくさんの視点から書かれた文に触れられてお得感がすごくありました
・3冊目について、将来の可能性をイチジクの実に例えるのは、あの時代の女性らしいと思いました。また題名の”The Bell Jar”にも深い意味が込められていて、とても感激でした。私も名前やブランドだけでなく、本当にやりたいことができる大学を適切に選べるように、勉強を頑張ろうと思いました
・男女差別のない社会にするために、ということについて学んでみたいと思いました