2017年8月19日

⑨大学出張授業報告【東邦大学 看護学部】

Filed under: 百代の過客 — 仙田 @ 12:10 PM

担当の菊入より報告です。

 教室でいそいそと機材のセッティングをなさっていた藤野先生は、威厳のある大学教授というよりも優しい雰囲気のお母さんのような方でした。講義が始まっても静かに語りかける姿は、まさしく患者に寄り添う看護師のようでした。しかしながら、柔らかい雰囲気とは裏腹にご自身の経験から話される講義は情熱にあふれ、生徒たちも真剣な面持ちで聞いていました。

特に藤野先生が強調なさっていたのは「患者さんがそのひとときをどのように生きているか”看る”」「患者さんに寄り添ってその人らしい生活を取り戻させる」ということでした。看護師は医師と違い、健康上の問題の断定や手術のような医療行為はできないため、そのかわりに患者さんの精神的な支えとなりその人らしく生きられるようにするのが役目だとおっしゃっていました。

講義の後半では、高齢者看護における診断法を全員で体験しました。生徒はとても興味津々で医療現場の実践に触れることができて楽しそうでした。最後の質疑応答では、「先が長くない患者さんにはどう寄り添うのか。」「そういう方に感情移入してしまわないか。」など人の生死に向き合う上での不安なことを尋ねていて、そのような現場で働こうとする覚悟が垣間見えました。