2017年12月20日

教科イチオシで温故学会へ

Filed under: 百代の過客 — 仙田 @ 10:35 AM

「江戸時代に触れる」をコンセプトに、私が歴史の教員として4年生対象の「教科イチオシ」を行いました。場所は恵比寿にある温故学会です。

温故学会は、江戸時代の盲目の国学者塙保己一が編纂した『群書類従』の17000枚以上の版木を保存すると共に、保己一の偉業の普及活動なども行っている所です。この版木の存在は、今でも様々な研究に役立っています。
12月6日(水)の事前学習では、塙保己一の業績を簡単に確認した後、本校のすぐ近くにある、かつて『群書類従』の版木を保管していた場所の跡を見学に行きました。現在は簡易な説明板しかありませんが、江戸の大火から版木を守るために、この地に保管されていました。
12月19日(火)の本番では、17名の生徒が参加し、渋谷から温故学会を目指しました。途中、渋谷発祥の地と呼ばれる金王八幡宮に立ち寄り、江戸時代の算額を見学しました。その際、わざわざ八幡宮の宮司さんが我々の所に来て、神社の由緒などを説明してくれました。
そして、塙保己一の像が迎えてくれる温故学会に到着。2階でまずは斎藤幸一理事長から塙保己一の業績について詳しく説明して頂きました。盲目であるため、周りに支えられてきたことを常に感謝し、自分が出来る社会貢献の道を見つけた保己一を理解することは、生徒の将来に役立つことになったと思います。

その後、保存されている『群書類従』の版木のうち3枚を実際に刷らせて貰いました。江戸時代の本は手刷りの上、紐で綴じる和綴じが基本です。この体験は、江戸時代の印刷を実際に感じることが出来る貴重な機会です。最初はうまく刷れなかった生徒達も、数をこなすうちに上手になり、それぞれが納得いく仕上がりになりました。最後は、自分のイチオシの一枚を持って全員で記念撮影をしました。

その後、実際に保管されている版木倉庫を見学し、その量の多さに驚かされました。斎藤理事長をはじめとする温故学会の方々の暖かい気持ちに感謝し、館を後にしました。高校の日本史の教科書では簡単にしか記載されていない塙保己一ですが、生徒達がその背景にある歴史の広がりを感じてくれた気がしました。

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